1. Please call me Collie! 【9/10】 ページ9
シリウスに引っ張られてハッフルパフ寮の入口まで帰ってきたAは、押し付けに近い親切とはいえ、夕飯の面倒まで見てもらったこともあり、釈然としないながらもシリウスにお礼を言うことにした。
「今日は、いろいろ……ありがとう」
「どういたしまして」
そう言ったシリウスは、Aの釈然としない心の葛藤を見透かしているのか、楽しそうにニヤニヤしているように見え、Aはいっそう悔しい気分になった。Aの表情から何を読み取ったのか、シリウスは笑えないジョークを飛ばしてくる。
「寂しいなら、俺の部屋来る?」
「おやすみなさい」
Aは素早く言い返し、くるりとシリウスに背中を向けてハッフルパフ寮の入口である樽の山へ足を進めた。シリウスが声を押し殺して笑うのが後ろから聞こえ、Aは口をへの字に曲げる。
決められたリズムで樽をぽこぽこと叩き、現れた隠し通路に身を滑り込ませようとしたAを見送るようにして、「おやすみ」という意外にも優しい声が聞こえた。
Aが肩越しに振り返った瞬間、樽がパッと通路を塞いでしまい、シリウスの姿は見えなくなった。
意地悪な口調でからかうくせに、急に優しくするなんてずるい。適当にあしらうべきなのか、丁寧にお礼を言うべきなのか、よくわからない。どうしていいかわからなくて、なんだか苦手だ。シリウスはいったい何がしたいんだろう?
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Helga(プロフ) - ハリネズミさん» コメントありがとうございます!嬉しいです。励みになります〜! (2020年5月10日 14時) (レス) id: 4936191a5f (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ - 面白いです。更新楽しみにしてますー! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Helga | 作成日時:2020年5月1日 22時