十五話 約束 ページ16
『2人は元々、男の子の病気を治すために旅をしていたみたい。その途中で私ができたから、置いていくのは仕方がないのかもしれない。航海には危険が付き物だし、安全な場所に置いていく方がいい。結局父さん達は男の子だけを逃して死んじゃったの。なんで私のこと置いて死んじゃったんだろうって、連れて行ってくれたらよかったのにって、幼い頃はちょっと思ってた』
なんで生きてるのか、よくわからなくて、何度も死のうとしたっけ。
その度にクザンに止められて…あの時のクザンの悲しそうな顔が忘れられない。
『でもね、その男の子に会ってから、私は変われたの。男の子って言っても、もう十数年経ってるから私より年上だけどね。母さんが残した手紙に書かれてあった通り、彼はすごく優しくて素敵な人だった。父さんと母さんが命をかけて守った意味が分かったの』
エ「Aは強いな…」
『ううん、私は彼に酷いことを沢山言っちゃった。彼の方が辛いのに、何も悪くないのに、私ってば自分のことしか見えてないの』
エ「誰でもそういう失敗はあるさ」
『ふふっ、エースってこういう時はお兄さんだね。いつもは子供っぽいのに』
エ「おいおい！俺はいつでも大人だろ！」
エースは真剣に私の話を聞いてくれた。
エースならきっと、全部話しても受けとめてくれるんだろう。
だから話せない。
エースは私を強いと言ってくれたけど、私は弱い。
温かいところに落ちてしまったら私はもっと弱くなる。
失うのが怖くて、またひとりぼっちになるのが怖くて、臆病になる。
自分が可愛くなる。
それじゃダメなんだ。
弱かったら、自分を犠牲にできなければ、大切なものを守れない。
エースといると彼の温かさに絆されてしまいそうで、怖い。
エ「まだ、話せないことがあるんだろ？」
『…え？』
エ「ゆっくりでいいさ。俺にも話せないことがある。だが、いつかAには話しておきたいと思ってる。だからAも、俺に話してもいいと思えるようになったら話してくれ！」
『…うん…ありがと、じゃあその時までちょっと待ってね』
エ「おう！約束だ！」
満月の夜、私達は一つの約束をした。
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もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (2023年4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (2023年4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
