十四話 月の宝石 ページ15
エースside
ホテルでシャワーを浴びながら今日の出来事を思い返す。
話からAは以前海軍に身を置いていたのは間違いない。
17歳の少女が何故戦力としてではなく海軍にいたのか、それなりの理由がありそうだ。
あの煙野郎の口ぶりからもAは大きな闇を抱えている。
俺は風呂から上がり服を着てAのいる部屋へ向かった。
エ「…A？」
見るとAは窓際に腰掛けて月を眺めていた。
その姿はこの世のものとは思えないほど綺麗で触れたら壊れてしまいそうなくらい弱々しく見えた。
俺が戻ってきたことにも気づかないまま、Aは月を悲しそうに見つめていた。
エ「A、風邪ひくぞ」
『！エース…もう上がったんだね、気づかなかった』
Aの肩に上着を被せるとようやく俺に気づいたようだ。
A、オマエにそんな顔をさせるのは一体何なんだ？
俺は何もしてやれねぇのか？
俺もAの横に腰掛け月を見る。
エ「綺麗な満月だな…」
『そうだね』
俺は柔らかく笑うAの横顔を見つめる。
エ「Aの髪、月明かりでキラキラしてて宝石みたいだよな」
『そうかな？』
Aは横髪をくるくると少しいじり笑う。
やっぱりAは笑った顔が一番綺麗だ。
『この髪は父さん譲りなんだー』
エ「そうなのか！Aのオヤジさんなら相当ハンサムなんだろうな！」
『ふふっ、ハンサムかは分からないけど、すっごく優しくて正義感の強い人だったみたい』
Aの言い方から、Aのオヤジさんが今は亡き人なのだと分かった。
別に珍しいことじゃない。
俺だってオヤジを知らない。
幼い頃からオヤジが最悪の男で俺はその子どもなんだということしか知らなかった。
『でもね、すっごくドジな人だったんだってーそこはちょっと受け継いじゃった』
エ「…Aはオヤジさんが好きなんだな」
『んーどうだろうね、エースは？』
エ「…俺は嫌いだ。生まれた時からアイツのせいで苦労させられた」
『そっか』
俺は生まれてきちゃいけない子だったんじゃないかって、何度も何度も考えた。
『私、両親の記憶がないの。生まれてすぐ私を預けて出て行ったから』
そう話すAの瞳には彼女の長いまつ毛が影を落としていた。
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もえぎ(プロフ) - コメントありがとうございます！複雑なストーリーとなっていますので最終的にどうなるかはまだはっきりしていませんが、その可能性は大きいです！ (2023年4月23日 21時) (
レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - この小説はトラファルガーローオチですか？ (2023年4月23日 19時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！気づかなかったので助かりました！ (2023年2月5日 12時) (レス) id: 5993720d1e (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - お/り/ふ;らたってますよ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 6328f81305 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - オリ‘フラ立ってますよ！ (2023年2月5日 9時) (レス) @page1 id: 40f7098858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2023年1月16日 0時
