最終話 ページ36
「…王子様とシンデレラは末長く幸せに暮らしましたとさ…おしまい。」
パタンと絵本を閉じて、隣を見ると既に夢の中。
私のお下がりのこの絵本も年季が入って、更に毎日読むから、角がくたびれて表紙は霞んでる。
パパが新しいのを何冊も買ってきてくれたのに、他の本は嫌だと駄々をこねる我儘娘。
そっとベッドを降り布団を直してあげる。
天使の寝顔は、目元がパパそっくりで。
「A。」
背後でカチャリとドアが開き振り返ると大好きな旦那様。
「おかえりなさい。」
「あぁ。」
既にジャケットは脱いだのか、ベスト姿でネクタイを緩めながら私の頭をポンポンっとすると、ベッドに近づき寝てる娘のおでこにかかる髪をそっとよけてそこにキスを落とす。
娘を見つめるその表情はすごく優しくて、正直少しだけ妬けちゃう。
翔さんは意外にも子煩悩で、娘をそれはそれはどこぞのお姫様かってくらい可愛いがり甘やかす。
…過保護だとも言うけど。
そのお陰で本当に我儘に育ち、日々苦労の毎日。
翔さんが俺様なら、このコはその上をいくお嬢様だ。
「さて…もうひとりの姫も可愛がるかな。」
私が自分の娘にヤキモチ妬いてるのもお見通しの翔さんは、面白そうに笑って両手を広げる。
けして自分から『おいで？』とは言わない。
私が自分から飛び込むまで待ってる。
素直に飛び込む私を受け止めると、抱き上げてくれてやっとただいまのキスがもらえる。
「わかってて意地悪ばっかり…。」
「散々言っただろ？お前からの嫉妬は快感でしかねぇって。俺を気持ちよくさせんのはお前だけだからな。」
くつくつと面白そうに笑う私の俺様王子様は、リビングに足を進めて。
「娘と競わせて楽しい？」
「あぁ。お前の一番のライバルだろ？自分の娘に嫉妬して俺を取り合ってるのを見るのが快感だな。」
「性格悪っ…。」
「今更だ。俺を欲しがるお前の顔がたまらねぇんだよ。けどな…。」
出会った頃から変わらない、口の悪さとドSな俺様…
それと…
私を抱いたまま、ソファに座り私の顔を覗き込む翔さんは優しい目で私を見つめて…
「俺にとってのシンデレラは一生お前だけだ…。」
合わさった唇から伝わるたくさんの愛情も、出会った頃と変わらず私をシンデレラにしてくれる魔法。
その魔法はいつまでも醒める事のない夢物語…。
ーCinderella Dreamー
Fin.
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ゆーか.Ss.Kn.Ti(プロフ) - 俺様しょーちゃん素敵でした！夢主以外は冷酷な鬼社長なのに夢主には甘々な社長のギャップがとても良かったです！ (2018年5月23日 11時) (
レス) id: 46f7e9ba0d (このIDを非表示/違反報告)
sallysally67(プロフ) - 一気に読み漁りました。んも〜溺愛ぶりがたまらないです。甘い甘い雰囲気の中で素敵な言葉が交差するので、余韻に浸ることができて夢心地。櫻井社長の気持ち良い程の溺愛に思えるのは、しおななさんの紡ぐ言葉だからこそですね。 (2018年5月18日 9時) (レス) id: 8738f1c5dc (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - う〜ん、ここまでくるとお見事！としか言いようがない〜 めっちゃ楽しかったです (2018年5月10日 10時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
wakana2145(プロフ) - また、この小説が読めて凄く嬉しいです！！溺愛翔くんに何度読んでもにやけてしまいます！ほかの作品も楽しみしています、頑張ってください！ (2018年4月25日 21時) (レス) id: 567c211a3d (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - 凄く嬉しいです、更新ありがとうございます。 (2018年4月9日 13時) (レス) id: 328b884698 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しおなな
| 作成日時：2015年9月25日 11時
