★ ページ45
ろうそくが消えて、薄暗くなったリビング。
「んもぉ！しょーちゃん、ふ〜しなかったでしょ？」
お前がいじけて膨れっ面してもむしろ可愛くてたまんないんだよ、俺は。
だから…
「しょーちゃん！やり直しするからライター…んん？！」
うるさい唇を自分のそれで塞いでやる。
薄暗く、ほぼ無音の室内には『チュッ』という微かなリップ音と舌を絡ませる水温だけが響き…
エプロンの腰紐に手を掛けて引っ張ると簡単に解ける。
「しょ…だ…め…。」
お前のダメは決してダメじゃねぇって俺が知らないとでも？
「んっ…せっ……かく…ごは…。」
そうだな…
たとえふたり分でもこれだけ作るのは大変だったろうからな。
ゆっくり唇を離すと俺の名残惜しい気持ちが銀糸になって表れて。
その糸をチュッと軽いキスで切って、
「今日はここで食えよ。」
キスはやめられても、腕の中から逃がしてやる事はできなくて。
「食べにくいよ。」
「いいんだ。俺に食わせろよ。俺の誕生日だろ？」
「…ホント俺様…。」
「今更じゃねぇか。こんな俺様の俺が大好きなのはお前だろ？」
「っ〜//」
薄暗い中でもわかる程に照れてるAは俺を今だによくわかってねぇみたい。
「お前はマジで可愛いのな。」
頬にキスを落として、前菜のカルパッチョを指差した。
つまり食わせろという命令。
ジッと俺の目を見てたけど、俺の意思が変わらないと悟ると、小さなため息をついてフォークに手を伸ばした。
「しょーちゃん？電気つけて？」
「あぁ。」
手を伸ばしてリモコンを取り照明をつけた。
明るくなった室内で、忘れ去られてたシャンパングラスが勢いが衰えた泡を浮かべてる。
「A。先に乾杯だ。」
「…ん。」
お互いグラスを手に取り、
「おめでとう。」
って言ってくれたAとグラスを合わせた。
コクリと一口飲んだAに、
「どうだ？」
敢えて聞いてみる。
「…わからない。」
「ククク。お前は正直だな。」
「だってお酒滅多に飲まないのにシャンパンの良し悪しなんて私にはわからないよ。」
「だろうな。」
饒舌にシャンパンの良し悪しを話すAはAじゃない。
「値段だけはいい酒だ。それなりに美味いだろうよ。」
「え？そんなに高級？」
「お前が気にする事じゃねぇ。美味いもんは美味いでいいじゃねぇか。」
Aには俺が死ぬまでずっと金の心配なんかさせるつもりはねぇ。
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ゆーか.Ss.Kn.Ti(プロフ) - 俺様しょーちゃん素敵でした！夢主以外は冷酷な鬼社長なのに夢主には甘々な社長のギャップがとても良かったです！ (2018年5月23日 11時) (
レス) id: 46f7e9ba0d (このIDを非表示/違反報告)
sallysally67(プロフ) - 一気に読み漁りました。んも〜溺愛ぶりがたまらないです。甘い甘い雰囲気の中で素敵な言葉が交差するので、余韻に浸ることができて夢心地。櫻井社長の気持ち良い程の溺愛に思えるのは、しおななさんの紡ぐ言葉だからこそですね。 (2018年5月18日 9時) (レス) id: 8738f1c5dc (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - う〜ん、ここまでくるとお見事！としか言いようがない〜 めっちゃ楽しかったです (2018年5月10日 10時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
wakana2145(プロフ) - また、この小説が読めて凄く嬉しいです！！溺愛翔くんに何度読んでもにやけてしまいます！ほかの作品も楽しみしています、頑張ってください！ (2018年4月25日 21時) (レス) id: 567c211a3d (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - 凄く嬉しいです、更新ありがとうございます。 (2018年4月9日 13時) (レス) id: 328b884698 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しおなな
| 作成日時：2015年9月25日 11時
