◆黒執事◆〜シンデレラの罪〜final

1＊侵入 ページ3

ヒューバート邸…──＜No side＞


──ｺﾝｺﾝ

邸宅の西の外れ…

そこにある大部屋を誰かがノックする

サ)「失礼いたします」

広い部屋の窓辺のソファに腰かける男がいた

？)「サング…」

サ)「おはようございます…お父様」

？)「今日も良い月だ…やはり眠りすぎは良くない

意識がぼぅっとする…」

サ)「そうですか…」

？)「サングよ…“彼女”は?」

サ)「昨晩、無事こちらに持ち帰りました

名はA…彼女で間違いないかと」

すると変化のなかった男の表情がほのかに優しく

明るくなる

？)「そうか 次こそ本物であってくれるといいな

…彼女こそ…Aこそアレティアを継ぐ者だと

いいが…」

サ)「ノアによるとソフィアがリーブンの首飾りを

破壊しました…徐々に始まっているとのことです」

？)「! もうすぐ会えるのか…彼女に…

どれほどこの時を待ったことか…!」

その時、男の表情が再び険しくなった

サ)「!」

？)「…気付いたか…?」

サ)「はい 何者かが屋敷に」

？)「随分と大人数だな…」

サ)「どうなさいますか?」

？)「聞かずとも良い Aを渡すな


殺せ」


サ)「Bien, Je vais suivre votre lignée.
(はい、貴方の血脈の赴くままに)

Votre père
(お父様)」


エントランス…──＜シエルside＞


シ)「まさかこうも堂々と入れるとはな…」

セ)「警備が甘いのか それとも誘っているのか」

弓)「後者でございましょうや」

今ここにいるのは僕とセバスチャン 巴と弓弦葉

の4人…僕たちは下から…エイミーとカリバンは

上の階からAを捜す

シ)「巴、どうだ…?」

巴)「幾つか命火がある…多分2階…?Aちゃん

の命火はそこから感じ取れるけど…」

セ)「…」


巴)「他の人間の命火は1つもない」


シ)「!」

A以外の人間の命火が1つもない…つまり…

セ)「坊ちゃん」

シ)「あぁ 陛下の願いは叶わなかったらしい…」

連続誘拐殺人の誘拐された娘たちは…既に死んだ

巴がさっきから疑問に思っていたのはこのことな

のか…?

巴)「ごめんシエル「構わない」」

シ)「Aを捜すことに専念するだけだ 確か2階だったな」

巴)「うん 一番北側の部屋…だと思う」

思う?なぜ巴はこんなに曖昧なんだ?


＜巴side＞

変だ…Aちゃんの命火が不安定になってる

消えそうとかそういうのじゃない

それに地下から変な気配を感じる

生きているとも死んでいるとも言えない…

言い様のない嫌な予感がした

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