Episode13 -7 ページ7
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両腕をついて私を閉じ込めた二宮さんが「もう逃がしませんよ」と低い声で言う。
「……どいて、ください」
「どきません。嘘じゃないと信じてもらえるまで、帰しません」
二宮さんと視線がかち合う。
まっすぐ見つめられて、耐えられなくて視線を落としたのは私の方だった。
ショックなのは、二宮さんの言葉が決められた台詞だったからじゃない。
私のことを好きだったわけではないのだと感じてしまったことだ。
相葉さんの言う通りだ。
私はとっくに、二宮さんのことが好きだった。
だからこんなに悲しくて、心の奥が冷たいんだ。
「俺はね、Aさん」
沈黙を破るように二宮さんの声が空気を静かに揺らす。
「女性にアプローチするのがすごい苦手なんですよ。上手く話せなくて、デートに誘うのもためらって、上手く距離を縮められないうちにチャンスを逃してしまう。それがいつもの俺なんです」
鼓膜を揺らした聞いたような話に私は顔を上げる。
ついさっき相葉さんが言っていた、そこにいるのは相葉さんが見た二宮さんの姿だった。
「貴女をゲームみたいに考えてなんかない。どうしても貴女に振り向いてほしくて、失敗…したくなくて……それで、翔ちゃんを頼ったんだ。いや、頼みこんだ、かな。貴女に合わせて欲しい。貴女との恋を演出してほしいって」
自虐するように二宮さんは口の端を無理やり持ち上げる。
その目は力なく、私の顔を見つめた。
「翔ちゃんの名誉のために言っておくけど、翔ちゃんは上手くいかなくても自分の言葉でやれって言ってくれたんですよ」
「え、そうなんですか…？」
つい言葉が口をつく。
頭の中には櫻井さんの顔が浮かんでいた。
「はい。でも、俺はそれが怖かった。だって、上手くいったためしがないですからね。学生時代から俺は好きになった子と上手く話せなくて、翔ちゃんに間に入ってもらうことが多かった。だけどほら、翔ちゃんはあんな人でしょ？みんな翔ちゃんを好きになっちゃうんだよ。だから怖くて……」
櫻井さんはいつも女性と付き合っているような人だ。
二宮さんの言う状況は、容易に想像できた。
「でも貴女は違う」
「っ、」
急に強い言葉で言われて私は息をのむ。
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iCHiKA(プロフ) - みかぽさん» 読んでいただきありがとうございました！ご感想もいただけてとても嬉しいです。これからもきっと主人公ちゃんは彼と兄に挟まれて大変なんだと思いますが、そんな三人をこれからも愛していただけたら嬉しく思います。お付き合いありがとうございました。 (2021年1月16日 14時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - ともさん» ともさん、いつもありがとうございます！今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。兄さんとのお別れは寂しいですが、これからも二人…いえ、三人ですかね、仲良く過ごしてくれると思います。兄さんにも新たに日々があることを願って！ (2021年1月16日 14時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - しょうくんさん» コメントありがとうございます！甘々な二人を気に入っていただけたようで光栄です。また機会があれば彼らに会えたらいいなと私も思っています。ご愛読ありがとうございました。 (2021年1月16日 14時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
みかぽ(プロフ) - 楽しく読ませてもらいました！ありがとうございます！智兄さんと二宮くんに挟まれてる主人公ちゃんがをずっと見ていたいと思いました！！ (2021年1月14日 0時) (レス) id: 627aaeefd6 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 完結…お疲れ様でした。智くん担の私としてはずーっと智兄さんと仲良く暮らして欲しかった(￣▽￣;)これから智兄さんの新たな道が開けるのかな？なんて勝手に思ったりしてσ)>ω<*)ﾃﾍ (2021年1月12日 21時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年10月18日 16時
