シンデレラ・ディレクション《ars/k.n/0617》 (ページ42)

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Episode6 -7 ページ42

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「やっぱり、あれにしてよかったです」

「そうですね。忙しくてチェックしてませんでした」

「忙殺ってやつですよね、あーやだやだ」

笑いながら二宮さんは私に手にしていたビニール袋を差し出した。

さっき映画館のグッズ売り場で買っていたものだ。

「じゃあこれ、おまけです。さっきのパンフレット。もっと細かく衣装の話とか載ってるみたいなんで」

「いいんですか？」

「もちろん。ヒントにでもなればと思ってシンデレラを選んだんで」

「！」

私は少しだけ目を見開いた。

当の二宮さんはそんなの気にもしない顔で笑顔を浮かべている。

手にしたパンフレットを私の手に握らせて、「あ、言っちゃった」ととぼけたような顔で笑った。

「二宮さん…」

「俺が見たかったってのもありますよ。どうにもシンデレラものに目が留まってしまって。仕事に毒されてますよねー」

笑いながら二宮さんがそう言うから、私は胸がいっぱいになりながら「そうですね」と頷く。

「実写ってどうなるのかと思ってましたけど、荘厳で綺麗でしたね」

「シンデレラといえばやっぱり、美しさと切なさですよね。ドレスのモチーフなんかも綺麗でした」

話しながら二宮さんはちょっと口を噤む。

「二宮さん？」

「いや…時間的に、飲んで帰るのは厳しい…ですよね？」

「あ…」

「いや、俺が飲みたいって言うのが一番ですけど、こうして話してればアイデアがどんどん出せそうな気がして…」

「そうですよね…」

実は私もこのまま二宮さんと意見を出し合えるかもしれないと感じていた。

けれど時刻はすでに十時を過ぎている。

門限までにはあまり時間がない。

私は考え込んだ。

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