ジャジャジャジャーン ページ47
「鬼嶋先生？！」
カンファレンス室に姿を現したのは、DMATのベストや防災着を身に纏った鬼嶋先生だった。
肩を揺らし、ヘルメットを外しながら部屋に入ってくると、リュックを下ろして、中から手袋と消毒液、生理食塩水と点滴セットを取り出す。
鬼嶋先生の爪や指先は皮が剥けていてボロボロだ。
「解散命令下ったわけさ。あっちももういっぱいDMAT集まったからあとは搬送先のことに専念していいって。
...じゃあ産みますかお母さん。
衝立持ってこさせるからさ。
大丈夫、私とカエちんがいるから。」
そう言うと、私に滅菌鑷子や鋏を持ってくるように言った鬼嶋先生。
私は急いでカンファレンス室を出て施術室まで走る。
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トリアージが終わって搬送されてきた患者を振り分けるのを終えた後、ふと外を見ると、かなり晴れていた。
その中で、だいぶ人が減った廊下を器具セットを片手に衝立を押しながら爆走する下屋先生が見えた。
「下屋先生！何してるの？」
「３９周の妊婦さんがカンファレンス室で破水しました！」
「...今行く！」
「大丈夫です！
鬼嶋先生がいるんで！」
「鬼嶋...？」
説明は後だ、と言わんばかりにタッタッと走っていってしまう下屋先生。
俺はその言葉を信じて引き続き外科の診察を始めた。
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「子宮口全開だよお母さん。もう少しで生まれるね〜。」
「鬼嶋先生...」
「わかってるよカエちん。」
鬼嶋先生は額の汗を拭ってお母さんの手を握り続けた。
___へその緒が見えた。
「
不足前位...すぐにオペ場手配。」
「でも血液製剤足りないって...！」
「血液型同じ人集めりゃ大丈夫！早く！」
逆子だったのだ。
逆子は脚に絡まって臍帯が産道に挟まってしまうことがある。
その場合を“
また、足が先に出てきてしまうことを“
その後すぐにオペ場に運ばれた妊婦さんは、麻酔を受けてぼーっとし出した、
「お母さん、“こんな大変な中お前を産んだんだぞー”っていっぱいお話ししてあげてね。」
「はい...」
「超緊急帝王切開術はじめます。
一分で赤ちゃん出しますよ！！」
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作者名：長官 | 作成日時：2020年5月3日 17時
