DMAT ページ45
「...やばい...風が強い」
「多分このままじゃテント張れないな...」
荻島は外科医達と病院内を走り回っていた。
入院中の患者の安否、余震に備えての避難経路確保、
各地病院との受け入れの連携。
ここは大きな病院じゃない。
頭部外傷や大リスクな“赤タグ”の患者が運ばれてこれるような場所じゃない。
「...鬼嶋が西島についたそうだ。
大勢の緑タグが黄タグがここに来る可能性がある...」
色タグは、“怪我や病気の程度”を表すもので、
先ほど口にしていた“トリアージ”によって分けられる。
トリアージとは、患者の緊急度に従い優先順位をつけることであり、緑色は待機、黄色は準緊急治療、赤色は緊急治療、黒は死亡、となっている。
「災害本部からの連絡を待とう。
向こうも忙しいはずだ。」
そう言うと荻島は病院のエントランスの長椅子を動かし始めた。
「何してるんですか...？」
「混雑が予想される。椅子の間隔を広げろ、
クッションになるものも集めて。
それと雨と風が弱まったら看護師助産師医者全員招集する。
今からここは戦場になるぞ。」
荻島はピッチを耳に挟んで医局に走り出した。
_______________________________
バリバリとヘリの音が響く中、急いでDMATの活動拠点が設置された西島の病院に入る。
「隠久ノ島病院から応援に来ました！
西島の被害状況は？！」
「建物の崩壊、倒壊、火事は見受けられませんが、怪我人は多い模様です！ただ今集会所にて避難所を開設しましたがトリアージが始まらなければパンクします！」
「わかりました！
中島先生と成田くんは私と一緒にトリアージへ、
ミクちゃんとケイスケさんはここで情報収集！」
Aは、オレンジのベストを着た数人に指示をし、
外科医である中島とロジスティックである成田に一緒に来るように言った。
しかし、被災地や現場での一番の優先事項は“情報の収集、会得”であり、真っ先に患者の手当てに向かうべきではない。
もし患者のトリアージが決まっても、受け入れてくれる病院と連携が取れていなければ意味がないのだ。
「鬼嶋先生...！まだ情報が...！」
「
__________________________________
「頭部外傷、出血は多くありませんが、脳震盪を起こしています。__はい、はい。お願いします...はい！
すぐにヘリコプター手配お願いします！」
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作者名：長官 | 作成日時：2020年5月3日 17時
