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コードブルー ページ17

物凄い勢いで走り出したA。

私服だどうだ等関係なしに、彼女は荷物をソファに投げ捨てて201号室に向かって一直線だった。

元々分娩直前で入院していた臨月の妊婦さん。

合併症かは知らないが、臨月の妊婦が突然心停止することは稀ではあるがない訳ではない。

ガラッと勢い良く扉を開ければ、けたたましく鳴る警報音とずらっと専門外の医師たちが並んでいた。

「退いて退いて!」

すぐにAはお腹の大きな患者に駆け寄り、数人の医師に指示を出した。

「お腹を強く左側に寄せていてください、
気道確保お願いします。蘇生を開始します!」

けたたましい警報音はAの鼓膜をビリビリとひどく刺激する。


Aは病床によじ登ると、妊婦の胸の少し上あたりの心臓マッサージを開始した。


力強く揺れるベッド。


じわじわと吹き出る汗に目が染みるのだろうか、Aは時よりギュッと目を閉じたりを繰り返していた。


「私がいる、私がいるから大丈夫...絶対大丈夫」


だんだん青白くなっていく女性の顔。
Aは医者になってから一番の焦りを感じていた。

暫くすれば、扉から荻島が飛び込んでくる。


「A、変われ!」

「はい!」


荻島が循環を変わると、Aは妊婦のお腹に貼ってある子宮モニターを全て外し、除細動器を持って駆け寄った。




「十秒後、除細動行きます、皆さん離れてください!」




荻島が離れるとAは母体の胸にAEDを押さえつけた。


ドックン、と大きく揺れる体。
心電図は一瞬盛り返し、少し静かになる。


「動け...動け...動け...」



ピーッと無機質な音が鳴り響く。



「もう一回行きます!」



「「はい!!」」


_____________________________

繰り返される蘇生。

もし妊娠による何かしらの合併症が原因なら、心停止中にカイザーをして胎児を取り出す方法がある。

しかしここには万全に赤ちゃんを受け止められるNICUがない。



赤ちゃんは...


お母さんは...


「A...母体優先だ」


私の考えていることがわかったのか、先生は私にそう強く言った。


「...はいっ」


ここはそこまで大きい病院じゃない。

今、この状況でここでこんな大事(妊婦の心停止)を対処できるのは専門として死戦期帝王切開を学んだ人...つまり私だけ。

もう3分が経とうとしている。


「ここにNICUはありません。
なので帝王切開は普通できません

でも...でも私がいます。

赤ちゃんを、お母さんを、助けます。」

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作者名:長官 | 作成日時:2020年5月3日 17時

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