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「あれが海王類……」
窓からその姿を見たAが呆然としていた。
俺は万が一の時の護衛で残ったが海王類ならすぐに落ち着くだろうし、危険もそんなにないので隠し部屋からAを出してやったのだ。
キッチンでコーヒーを淹れ窓から離れたところに座り直すと、隣に腰かけたAがポツリと呟いた。
「……みんな凄いなぁ」
「……破天荒な船長を持つと命がいくつあっても足りん」
ため息をつきながら溢した俺の言葉に顔を上げじっと見つめてきたAは、それでも…と口を開いた。
「それでも、ベックさんは何があっても着いていくんでしょ？」
「……そうだな」
「ねぇベックさん。
万が一の時のこと……シャンクスにはもう話してあるんだけど、ベックさんにも伝えておきますね」
Aは俺の返事を聞かずに、自分が死んだら灰になるまで燃やしその灰を海に捨ててくれと言った。
お頭は絶対にAを死なせない。
そんな日が来るのは何十年先だろうかと考えながら煙を吐き出していると、Aがもう一度俺の名を呼んだ。
「ベックさん、私をこの船に乗せてくれてありがとうございます」
まっすぐ俺を見つめる瞳と目が合うと、Aはふわっと微笑んだ。
柔らかそうな頬に手を伸ばしそうになったが、バタバタと聞こえてくる足音と騒がしい声にハッとして思い止まった。
「A！今日は海獣の肉で宴だぞ！」
「みんな無事？」
「ああ、問題ない」
バンッと食堂のドアを開けまっすぐAの隣に腰かけたお頭は、心配そうに自分を見つめる瞳を嬉しそうに見つめ返した。
「A、ゲームに負けた俺へのお願いは決まったか？」
「あっ、忘れてた」
「えぇー」
つまらなさそうに机に突っ伏したお頭は頬杖をつきながら、考え込むAを眺めている。
「うーん……ねぇ、シャンクス」
「決まったか？」
「そのお願い、取っておいても良いかな？」
「……まぁ、構わないが」
「シャンクスはいつも何でも買ってくれるし、やりたいことも叶えてくれるから本当に思い付かないんだよ」
「Aは欲がないなぁ」
「船を降りるまでにちゃんと何かお願いするから」
改めてAから“降りる”と口にされお頭は複雑な顔をしながらも分かった、と返事をした。
Aのその言葉はお頭だけでなく、何となく二人の会話に耳を傾けていた俺達にも刺さったのだった。
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ちょこ(プロフ) - kaito11さん» ありがとうございます！引き続き続編もよろしくお願い致します！ (5月6日 22時) (
レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
kaito11 - この作品大好きです！これからも更新楽しみにしています！ (2023年4月28日 18時) (レス) @page50 id: a5ae7a5cae (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - NATSUさん» いつもありがとうございます！ (2023年4月15日 17時) (レス) id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
NATSU(プロフ) - 続きがとても楽しみです。 (2023年4月14日 22時) (レス) @page45 id: 01b4412dd0 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 白雪さん» 初めまして、大好きと言って頂けて本当に嬉しいです。更新の励みになりました！ (2023年2月27日 21時) (レス) @page28 id: b37865d1d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作成日時：2022年12月18日 19時
