つきしろは揺れて ページ46
“お月様みたいに綺麗だね”
誰かに言われた気がする。
誰だっけ。
とりあえず、広場の敵を粗方殲滅してから私は刃こぼれした剣を握り直し、裏門へ向かう。
“もし何かがあった時は、エレノアとマルティナ姫が勇者を連れて裏から逃げる。Aはその手助けをしてくれ……もちろん、何も無いのが一番なのだがな”
二日ほど前に、城のバルコニーから広場を見下ろし、考え得る陣形の再確認をしていると、王が来られて、そう言った。
途中倒れた兵士や重症の兵士を、他の者が庇いつつ戦うのを見た。私は彼の助太刀をして、礼として特薬草を貰う。
あの重症の兵士はアオイムがすぐ治療してくれるだろう。死にはしないから、早く医療班へ渡すように言うと、彼は泣きそうになりながらも礼を言って駆けていった。
空は分厚い雲に覆われている。今日はきっと満月だったんだろうに、魔王のせいで見れずじまいだ。
「魔王……か」
長い間考えた。きっとゼタの言う大切な人というのは、魔王のことなのだろう。父さんの書庫から本を漁り、伝説の初代勇者の伝記を読んだ。その一行には、女神ゼタの名前と……もう１人、大魔導士ウラノスの名前が載っていた。
かつて読んだ文献には、バンデルフォンを滅ぼしたのは古来より存在せし魔王ウルノーガであると、そう書いてあった。
ウラノス……ウルノーガ。ウルノーガが彼女の名を呼んだ事実。
これだけあれば十分だ。
私が裏門に着くと、丁度エレノア王妃とマルティナ姫が１人の赤ん坊を抱いて逃げおおせる所だった。しかし、背後からグレイトドラゴンがブレス攻撃を放とうとしている。
ああ、まだ残っていたのか。
急いで彼女達を守るように立ち塞がると、私は一身に灼熱の息を受けた。
さすがに特薬草一個飲んだくらいでは、一撃も耐えられなかった。しかし私には決意がある。
王妃達が何か叫んでいるが、私はただただそこに立ち尽くしていた。
次第に小さくなっていく足音を確認して、安堵する、と同時に膝から崩れ落ちた。
「……ゴホッ、はあ……」
大量の血を吐いて、意識が遠くなる。
かつて私に懐いてくれていた目の前の猛獣は、全身の鱗を逆立てていた。
世にもおぞましい雄叫びをあげる。
鋭い爪を彼が振り下ろした時、私の意識はぶつりと途切れた。
“お月様がどうかした？”
“君の髪が綺麗だと言ったんだ”
“……私にはよくわからない”
“ふーん。でも僕は好きだよ”
“……あ、ありがと”
幼少期の記憶
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ChocoLa(プロフ) - pirioさん» 魔物ブラザーズにクスッときました笑 そうですね……私のUndertale小説を読んで下さったらわかるんですが、(宣伝すみません！！)私の小説はよくキャラが死にます。(迫真) あ、そうですね！そうかもしれません。アオイムがグレイグ二号になる日も近いか……？ (2017年9月25日 23時) (
レス) id: 8909d06097 (このIDを非表示/違反報告)
ChocoLa(プロフ) - よぼよぼ婆ちゃんさん» スマホから書いてるんですが、腱鞘炎になりそうです← ありがとうございます♪ いえいえ！カミュ夢書いてらっしゃる作者様ですよね？読んでいただけて凄く光栄です！！そんなことないですよ、よぼよぼさんの作品読ませていただいてるんですが、とても面白いです！ (2017年9月25日 23時) (レス) id: 8909d06097 (このIDを非表示/違反報告)
pirio(プロフ) - え……魔物ブラザーズ(勝手に名付けてすみません)死んじゃったんですか、、。好きなキャラだったので悲しいです。あと紫苑の誓いでのグレイグって絶対バンデルフォンのこと思いながら言ってますよね。、ふあああなんか衝撃でした>< (2017年9月25日 18時) (レス) id: 31a4e1749a (このIDを非表示/違反報告)
よぼよぼ婆ちゃん(プロフ) - 今日、一気に更新したのですね！！ 続きがこんなに読めて嬉しいです^^ この作品を読むたびに、自分の文才の無さがよく分かってしまいます（泣） (2017年9月25日 17時) (レス) id: b26a8ca70c (このIDを非表示/違反報告)
ChocoLa(プロフ) - 魔物入れちゃいました。。前作から読んで下さってありがとうございます〜>< あーでも魔物小説ないですね！自分擬人化とか好きなので魔物小説誰か作ってくれないかな()って思ってます()わたしの好きモンはキラーマシン２ですかね、めっちゃかっこいいですよね！ (2017年8月27日 13時) (レス) id: 73c0835f44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ChocoLa | 作者ホームページ：http://ulog.u.nosv.org/mylist
作成日時：2017年8月24日 15時
