【DQ11】亡国の悲劇

受け入れる事 ページ40

余りの衝撃ニュースにしばらく沈黙してしまう。それを悪い方へ受け取ってしまったのか、マルティナ姫が慌てて弁解なさった。

「あ、悪い意味じゃないのよ。ユグノア王もそこら辺はキッチリしてくれたわ。以前から魔物関連のほうりつ、もつくってたみたいだし」

幼いながらも姫らしく難しい言葉を使って説明して下さるその健気な様子に、自然と笑みが溢れる。

「……ふふ、気を遣わせてしまい申し訳ありません。もちろん、我が王が決めた事には全信頼を寄せていますので、大丈夫です」

「なーんだ、心配してそんしちゃったわ」

腰に手を当て、ニッコリ笑うマルティナ姫。……あー。可愛い。駄目だこれは可愛すぎないか。

「……顔がだらしない事になっているぞ」

「う、うるさいわねホメロス」

「それより、ユグノアって案外静かな場所なのね」

「今は朝も早いですからな。もう少しすれば民も起きて活気が出てくるでしょう」

グレイグが姫を肩車し、広場の噴水や花壇を見て回る。私はホメロスに何故三人がこちらに赴いたのかを質問した。

「もう少ししたら、四大国会議があるだろう。姫もそれに参加なさるから、まあ下調べのようなものだ」

もう齢十にも満たれるしな、と続けたホメロスは、なんだかいつもと違う雰囲気を纏っている。

「……ねえホメロス」

「なんだ」

「何かあった？」

そう聞いた瞬間、形の整った柳眉がぴくりと動いた。本当に微かだったけれど。

「お前には関係ない」

長い睫毛を伏せ、金髪を揺らしながらマルティナ姫とグレイグを追ったホメロスを、私には引き止める事ができなかった……。









という事を選択するような遠慮は当然幼馴染の私は持ち合わせていない。

子供の頃はお互い軽口を言い合ったりした仲だ。私は通信魔具を操作した後、ズンズン進んでいく足を止める為、彼の腕を強く掴んだ。

今此処で逃すと、もう戻れない気がしたから。

「待ってよ」

「……持ち場に戻れ」

「うっ……それも大事だけど……友達が辛そうな顔をしてるのに、それ放って仕事とか、私の騎士道精神には無いね」

ゴ……、シルビア様も仰ってたもの。悲しいオーラの子には、幸せオーラや笑顔オーラを分けてあげなさいって。

「私にはマルティナ姫の護衛がある、邪魔するな」





「あ、それならもじゃたちがするから大丈夫もじゃよ〜」

「まだ眠いんだけどなぁ」

「姫の護衛か。騎士っぽいじゃないか」


さすが魔物。朝は早いね。

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