やりたい事 ページ11
大きなテントが見えてきた。原色のストライプが奇抜ないかにもサーカスという感じの派手なデザインだ。
これは期待が持てるなと浮かぶ笑みを抑える事もせず、私達は中へと入っていった。
「A、グレイグ！ こっち来いよ」
通路沿いにある広いスペースで、ホメロスやゴリアテ様が白いおしゃれな椅子に座って寛いでいた。
ゴリアテ様はともかく、ホメロスはなんだか腹たつな。なんでだろう。
「あぁ、すまない。グルーニア様は？」
「あのお方は団長と話をするって奥の方へ行ったぞ」
「そうか」
グレイグはお父さんの行方を聞くと、ホメロスの隣に座る。私はその前に降ろしてもらって、グレイグにお礼を言ってからゴリアテ様の近くにお邪魔させてもらった。
「手合わせ以来だね」
「先日はお世話になりました！」
「身体はもう大丈夫なの？」
「もう、バッチリですよ！」
私は両手を使って頭の上で大きな丸を作る。ゴリアテ様はそれを見てクスクス笑われた。はぁ〜美しい！
「そろそろ、芸が始まるね」
ゴリアテ様に見惚れていると、いつの間にかはじめの挨拶が終わっていたらしい。赤鼻を付けたピエロ達がバランスボールの上で華麗にジャグリングをするのを、私はハラハラしながら観ていた。
一通り芸が終わると、惜しみない全力の拍手を送る。思わず感嘆の息を洩らした時もあった。
そんな、正にサーカスを観劇するためだけに生まれてきたような反応をする私を、ゴリアテ様がじっと見つめていた事には気が付かなかった。
――
「ちょっとだけ、いいかな」
ゴリアテ様に言われて、私は彼に着いて行く。
そう言えば、サーカスが終わり割れんばかりの拍手と歓声を受け続ける彼らを、ゴリアテ様はどこか羨ましそうに眺めていた。
彼はソルティコ正門前の花畑に腰を落ち着け、隣に座るよう示された。失礼してその場に座ると、ゴリアテ様は�茲を緩めながら私に語りかける。
「私は、あんな存在になりたい」
長い睫毛を震わせながら、少年が持つ夢のように眩い光を放つその瞳。
もう彼が何を言わんとしているかは容易に分かってしまった。
いつかの言葉……“笑顔を作り出せる存在”。それが、あのサーカス団だと言うのなら。
ゴリアテ様は本当に、騎士になるつもりはないのだ。
彼の様な騎士に憧れていた私としては悲しい気持ちもあるけれど、それ以上に、私は貴方の事が。
「私は、ゴリアテ様の夢を応援したいです！」
気付けば、私は彼にそう言っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ChocoLa(プロフ) - 魔族長ホメロスさん» コメントあざます！めっちゃお褒めいただいて光栄ですん！続編は予定してます！カミュ夢になる予定です！ホメロスも乱入してきます！続編でもよろしくお願いします！ (2017年8月24日 14時) (
レス) id: 73c0835f44 (このIDを非表示/違反報告)
魔族長ホメロス - あ、いきなりすいません。１話から見て居ました。とても面白い小説でした！キュン要素とギャグ要素がいい感じでよかったです！ (2017年8月24日 14時) (レス) id: 8414186cd0 (このIDを非表示/違反報告)
魔族長ホメロス - 続編とかはないんでしょうか。。？これで終わりだと実況最後まで見たので悲しいです。続編期待します！ (2017年8月24日 14時) (レス) id: 8414186cd0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ChocoLa | 作者ホームページ：http://ulog.u.nosv.org/mylist
作成日時：2017年8月19日 15時
