弐 ページ2
つまり、私はこのお店の看板娘でありながら、たったひとりの店員、ということになる。
「あんまり、無理するんじゃないよ」
「ありがとう、ございます」
じわりとその一言に、心を温められていた時。
突然、ガラララッッッ!!と、勢いの良い、戸を開ける音がした。
お客さんだ。
珍しい。いつもこの時間帯に来る人なんて、このおばあちゃんくらいなのに。
「いらっしゃいま―――」
そう思いながら入口を見やって、私は思わず、
目を疑った。
「おー!!こんなとこに茶屋あったんやぁあーー!」
瞳をきらきらと輝かせながら入り口に立っていたのはなんと、赤い髪をしたお侍さんだった。
しかもお侍さんはその一人だけではなかった。
茶髪、金髪、紫髪の方もいる。
四人はみんな、お揃いの白い羽織を着ていた。
あまりにも見慣れない服装のお侍さんたちだと思ったけれど、私が驚いた理由は、それだけではなかった。
(……か、かっこいい)
びっくりするほど四人とも、顔が整っているのだ。
「うるせえよ坂田。ここ、お店やぞ」
紫髪の方が、赤髪の方にツッコミを入れる。
「へぇ〜〜すごい、こういうとこ入んの、なんか久しぶりやわぁ」
金髪さんは、お店の内装に何故か感嘆しているようで、ほぉ〜〜と周りを見渡した。
「お前ら、もう少し静かに入れよ……ほら、お嬢さんもびっくりしてるだろ」
最後に入ってきた小さい茶髪さんは、冷静にそう言い放った。
お嬢さん。
その言葉にはっとして、私は入口のほうへと出る。
「い、いらっしゃいませっ!!どうぞお好きな席に…」
「おぉ〜すごい、べっぴんさんやぁ!!かわええ〜〜」
「えっ!?え、あの」
「いいから坂田、話を聞けお前は、人の話を」
あろうことか坂田と呼ばれた赤髪さんは、私の顔を見るなり私の手を取ってきた。
(……ふ、フレンドリーすぎる…!!!)
あたふたすることしかできない私を見かねてか、茶髪さんが坂田さんの肩を掴む。
すると坂田さんは、私の手を離した。
「すいません、こいつほんっとにうるさいし馴れ馴れしくて」
「えぇ〜〜〜そんな言わんでもええやん!ていうかうらさんお嬢さん言うたやろさっき。かっこつけぇ〜〜〜」
「……っ!うっせ、」
「あー、ちょっと赤くなったー」
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名:黒崎クロエ | 作成日時:2019年1月12日 17時