舞台裏の戦争 ページ4
大きな会場、輝くステージの上。いくつもの光に照らされるみんなを見ていると、とんでもない人たちのヘアメイクをしているんだなあと感じる。
「足なっがいな〜」
「そんな今更」
「でも何回でも思っちゃう。かっこいいよね」
ヘアメイク仲間とモニターを見ながらそう笑っていると、暗転とともに舞台裏にバタバタと駆け足が響く。化粧直しだ。
肩で息をしていて、パフォーマンス終わりの彼らがいることで一気に熱気が押し寄せてきた。さっき決めたメンバーにつく。私はジミンだ。
「ジミンに塩頂戴」
「ちょ、ヌナ、僕のこと悪霊だと思ってんですか」
「スポドリだけじゃ足んないでしょ」
「ああ、そういう……」
小さな岩塩を渡されてぱくりと口に含み「しょっぱい」という顔の彼に容赦なくリップを塗る。
パフォーマンスの話をしている彼らは私たちがどんなふうに化粧直ししようが気にしないし、私たちも彼らの動きなど気にせず化粧直しをする。
化粧直しが終わって、衣装さんもざっと最終チェックしまたステージに上がる。
舞台裏は戦争だ。
舞台に上がっていく彼らの背を見上げて、息を呑んだ。
彼らはステージで息をするプロだ。普段は年相応か、それより純粋な青年なのに、パフォーマンスを見るたびに彼らが立つ場所がどういうところなのか突きつけられる。
「みんなにも塩食べさせなきゃなあ」
「ジミンの顔すごかったけどね」
「まあ岩塩って舐めるものだけど時間ないから噛んでたしねえ。そりゃしょっぱいわ」
「確かに」
みんな、幸せに楽しく愛し愛されて欲しい。
私には彼らのように世界を震わせるような力はないけれど、そんな彼らにほんの少し魔法をかけることはできる。
彼らの美しさにちょっとだけ変化をつけて、本人たちもファンたちも楽しませる。
ヘアメイクってきっと、そういう仕事だ。
2350人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めぐみ(プロフ) - はぁ………とため息が出るほど、ちょっと目の奥が熱くなるような感覚を知るほどに素敵な作品でした、ありがとうございます(;;)みんなすごく心が優しくて、読んでいて私も優しい気持ちになりました。もし番外編など、浮かびましたらその時をまた楽しみにしています! (2022年3月15日 19時) (レス) @page43 id: 70e57b3fd4 (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 好きー (2021年8月18日 8時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - ひろさん» ありがとうございます! ラストはしりすぎたかな? とちょっと心配だったのでホッとしました( ˘ω˘ ) 続編は今のところ考えてないです( ; ; )すみません( ; ; ) 何か浮かべば番外編を書くかもなあというくらいで……コメントありがとうございました! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - じゅりさん» ありがとうございます! 私自身続編系???となってましたがなんとかおさまりまして……笑 次の作品はかわいい控えめかもしれませんが、がんばります! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - ラストの展開、キュンキュンしながら読ませていただきました!面白かったです!続編楽しみに待ってますね! (2019年12月19日 18時) (レス) id: 099739feed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちよ | 作成日時:2019年12月8日 16時