鬼 ページ14
時透
それは、あまりにも一瞬で。
柱である僕達も気付くのが遅かった。
僕達が鬼の気配に気付いた時には、
奴に向かってAが刀を向けているところだった。
綺麗に彫刻された
真紅色の刀は月の光に反射して怪しく光る。
宇髄「鬼か。元忍びの俺でさえ気づかなかったぞ。」
いや、ただAの気付くのが早すぎたってことでしょ。
それでも彼女より長く柱をやってきたこちらの身としては、
まだまだ僕は鍛錬が必要だな、と思った。
鬼「ほぉ、鬼狩りかぁ....
だが、俺は強い!
先にその女から食べてやる!」
醜い姿をした鬼が、Aを指さした。
僕達は、ばっと鞘に手をかける。
Aは、臆する事もなく
冷酷な笑みを浮かべた。
背筋がゾッとする。
美しくも、大変恐ろしい笑顔に。
「皆様は、抜刀しなくてもよろしいですよォ。
こんな舐めきった雑魚鬼には手間かかりませんからぁ。」
鬼「んだとてめぇ「艶の呼吸、参の型。妖宴」
一瞬でA雰囲気が変わり、鬼が好む血の匂いが強烈に彼女の全身をまとう。
僕達にも血の匂いがまとわりつく。
頭がクラクラしそうだ。
鬼「な、何だこの匂いは!?んぐっ
甘い....甘い!頭が、クラクラしやが....ガあ"!」
鬼がその匂いの甘さに、酔ったと同時に
Aはやつの懐に音速で潜り
ゴロっ!
首を斬った。
甘露寺「(な....は、早い!何今の技!?
もう1回見たいわ!かっこいい♡)」
「....ふぅ。さ、帰りましょ。」
ふっと振り返った彼女の笑みは
いまさっきの冷酷な笑みとは真逆の
柔らかく優しかった。
なんなんだろう、この感じ。
とても、優しくて綺麗な人なのに。
.
....僕はこの人が怖くて仕方がない。
「?時透さん、早く行きましょうよぉ。」
時透「ッうん。」
その得体の知れない感情には勘づかれないように、蓋をした。
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作者名:美麗 x他1人 | 作成日時:2020年2月10日 2時