迷子 abkj ページ46
今日は普段ならもっと上手く出来るはずのことが出来なかった。
練習を終え、解散が告げられると、心配そうなメンバーに心配かけないように、必死で笑みを繕って。
「...迷惑かけてごめんなさい。明日はちゃんと出来るように頑張るから」
頭を下げて鞄を掴み逃げるようにレッスン室を出た。
なんでこんな上手くいかんのやろ。
ふらふらと歩きながら1人になれる場所を探す。
非常階段に座り込むと膝を抱えた。
自分の不甲斐なさに瞳が潤む。
...迷惑かけたらあかんって分かってるのに。
どうして上手くいかないんだろう。
いつだって自分はそうだ、足を引っ張って...。
自分を責めれば責めるほど自分が嫌いになって、自信がなくなって。
ーーーー消えてしまいたい、なんて。
心の片隅でそう思ってしまった。
自分を責めるしかなくて。
ずっと彷徨いどうすればいいか分からなくて。
冷えきった心と身体。
そんな自分を優しい温もりが包んでくれた。
「...こんな所にいた。」
「...あべ...ちゃ...なんで...。」
いつだって君はそうだ。
悩んでる時も、消えたくなった時も、泣いてる時もすぐ現れていつも抱きしめてくれて。
ーいつだって迷子の僕を見つけてくれるのだ。
「...康二、大丈夫だよ。」
優しい手がそっと頭を撫でてくれる。
「...僕、ほんまあかんね」
なんて無理やり笑う僕を優しさで包みこんでくれる。
その温かさに涙腺が緩み、ポタリと雫が彼の肩で弾ける。
「康二熱あるでしょ。だからじゃない？今日上手くいかなかったの」
「…え？」
「…自覚なかったの？ほんと人の変化にはすぐ気がつくのに。自分のことには疎いんだから」
そんな康二だから俺が守ってあげないとね、なんて君が優しく笑うから。
胸がとくんと音を立てる。
知らない。こんな感情。
「康二、今日は俺の家にお泊まりね」
「っ、迷惑かけてまうし、大丈夫…」
「大丈夫なわけないでしょ。俺は今日康二のこと甘やかしてあげるって決めたから」
「阿部ちゃ…」
「大丈夫、俺は何があっても康二の味方だし、ずっと側に居るよ」
きっと彼には自分の弱さも悩みも全部見透かされていて。
この想いに付ける名前はー。
「ほら、康二帰るよ」
優しく手を握って体を支えてくれる彼の横で一人、心に生まれた感情をただ噛み締めていた。
…好き。君が好き。
…1人ぼっちの時、いつだって王子様が見つけてくれるのだ。
ーーー迷子になった僕を。
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Chia(プロフ) - さおりんさん» コメントありがとうございます！fkさんのリアコ感が大好きなので、そう言っていただけるの本当に嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2020年4月16日 21時) (
レス) id: 5566412594 (このIDを非表示/違反報告)
さおりん(プロフ) - 素敵な話しにいつもキュンキュンしながら読んでます。Chiaさんの書くfkさんがカッコよすぎる....fkkjじゃなくても+fkでもいい味リアコ感が増し増しになるのがすごい出てます。これからも更新頑張ってください (2020年4月15日 8時) (レス) id: 08e681b0ae (このIDを非表示/違反報告)
Chia(プロフ) - のんちゃん丸さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけるなんてとても光栄です...！ありがとうございます。これからもよろしくお願いします！ (2020年3月19日 8時) (レス) id: 5566412594 (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん丸(プロフ) - 今日はじめて読ませていただいたんですけど、1話目ばり泣きました！！もう、すんごい感情が伝わってくる感じで、他のもとても面白いです！移行後も更新は大変だと思いますが、頑張ってください！楽しみにしてます！！ (2020年3月19日 1時) (レス) id: e4d4a2e8f2 (このIDを非表示/違反報告)
Chia(プロフ) - ゆきんこさん» コメントありがとうございます！！嬉しいです。楽しみにして下さってるだなんて光栄です...！これからもよろしくお願いします！ (2020年3月16日 20時) (レス) id: 5566412594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chia | 作成日時：2020年1月9日 18時
