優しさに包まれて【不死川実弥】

感謝 ページ21

屋敷に帰ると、一匹の猫がいた






『どうしましたかぁ？』






猫の前に座って、頭を撫でながら聞いた






猫はただただ黙って、気持ちよさそうに目を細めていた






『…少し、私の独り言を聞いてくれますかぁ？』







この気持ちは誰かに話しておかないと気が済まない







『信じて貰えないかもしれませんけど、私未来から来たんですよぉ。大正の…次の次の次の時代から来たんです。私はそこで虐められていました…。最初は耐えたんですよぉ？でも…耐えられなくなっていった』








そう








最初は皆…その内また…前と同じように接してくれるって思ってた








『だから私は…自ら命を断ちました。神様は酷いですよねぇ…死にたいと願ったから死んだのに、目を開けたらこの世界に…。しかも鬼がいる世界ですよぉ？何で神様はこの世界に転生させたんでしょうねぇ…』









…今なら…今なら分かるかもしれません









『私は人が信じられなかった。信じたくなかった。裏切られることを恐れたから。でも…皆さん優しい方ですよ。不思議な方もいますが…。皆…私にとって大切な友人です…。あれだけ酷い言葉を言ったのに…あの人たちは何度も何度も、私に話しかけてくれた。口では鬱陶しがっていましたが…心の奥では嬉しかったんですよぉ？これは本当ですよ？』







猫はひと鳴きし、どこかに行ってしまった









『聞いてくれてありがとうございました』










私はそう言い、屋敷の中に入った









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私の独り言を聞いている人が、猫の他にもいたなんて知らずに

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