Summer time Days！2【wrwrd】【all】【合作短編集】 (ページ28)

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「確かにな、じゃあ俺ん家来るか。」
「へっ！？」
想像だにしていなかった返事に声が裏返ってしまった。
「流石に女子の家は行けんからな！」
特徴的な笑い声を響かせるコネシマくんに、そういう問題ではないと心の中でつっこむ。声に出せないのはやはり嬉しいから。緊張してしまって勉強どころではなくなってしまいそうだけれど、断ってしまってはこんなチャンス二度とないだろうし、行きたいのが本音だ。
「い、いいの？」
「おん、全然ええけど。じゃ、決まりな。」
流れるように決まってしまった〝勉強会inコネシマくんの家〝。決まり、という彼に返事する代わりに、小さく頷いた。図書館や、カフェなど勉強ができそうなところは他にもたくさんあるのに。コネシマくんはあまり女子と絡むところを見ないし、こういったことをされると私は特別なのではないかなと少し期待してしまう。まあ、そんなわけがないだろうな。私のような目立たない人間がそんなことを考えるなど、コネシマくんに失礼だし烏滸がましい。羞恥からじわじわと頬に熱が集まるのを感じるが、知らないふりをした。
「A、暑い？顔赤いで。」
「大丈夫、です。」
ちょっと自己嫌悪してただけ、なんて言うわけにもいかず、ふぅん、と頷くコネシマくんに顔を見られないようにまた俯いた。
「A、俺あんまり女子好きちゃうんよな。煩いし。」
おもむろに話し始めたコネシマくんの言葉が胸に刺さる。そんなのとうの昔からっている。だからこうしていまにも弾けそうな大きな感情をしまっているのに。緩く手を握る。わかっていた筈なのになんだか悲しくなった。
「でもAはちゃうやん。」
想像だにしていなかった言葉に、ばっ、と顔をあげる。視線の先ではコネシマくんが、してやったりというような表情で笑っていた。何か言ってやろうとするも、気づけば私の家で、思わず足を止める。
「ここか。じゃあまたな。」
「あ、うん。また。」
名残惜しいが、ゆっくり遠ざかるコネシマくんの背中を見つめる。数歩進んだところで彼はぐるりと振り返った。
「なあ、A。俺が二人きりで帰んのも、一緒に勉強すんのも、家に呼ぶのも、女子んなかでAだけやで。」
ここまで言うたらわかるやろ、と彼は太陽のように輝く笑顔をこちらに向けた。そして私がなにも言えないでいるうちに、走って帰っていった。こちらを明るく照らしてくれるその笑顔に、颯爽と走り去る彼の背中に、私の中の「好き」がぱちりぱちりと淡く弾けた。