Summer time Days！2【wrwrd】【all】【合作短編集】 (ページ27)

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「ぷはっ！うまいわ。夏といえばサイダーやな！」
がははと笑うコネシマくんにつられて、私も同調しながらクスクスと笑う。
「Aは今から帰るんか？」
「うん、コネシマくんは部活？」
「いや、テスト前やから部活休みやねん。方向同じやし一緒に帰るか。」
そうなんだ、と呟きながら彼の言葉を咀嚼する。
一緒に帰る、誰と？私とコネシマくんで一緒に帰るの？え、と困惑の一文字を溢す頃にはコネシマくんは歩き出していて、少し先の方でこちらを見遣り、おいてくで、と手招いてた。
突然だが、私はコネシマくんに恋をしている。彼を恋慕っている。しかし私のような目立たない人間が、密やかなこの思いを打ち明けられるはずもなく、ただ思いを募りに募らせて持て余しているのだ。そんな人間が思いを寄せている彼と共に下校といった、青春を想起させるこのシチュエーションに堪えれるか否か。答えは否である。緊張のあまり頭が真っ白で、なかなかうまく話せない。今は比較的おしゃべりである彼が絶え間なく話してくれているので、相槌を打つだけですんでいるからまだよかった。
「なんか、いつもとちゃうな。」
「えっ。」
「いつもはもっと楽しそうに笑てるやん！そないにおもんなかったか、この話…。」
うーん、と悩むように腕を組むコネシマくん。彼の話はいつも面白いし、今回も例には漏れない。慌てて弁解するように口を開く。
「あ、ごめんなさい！ちがくて、ちょっと緊張しちゃって。男の子と帰るの初めてだったから…。」
言っている途中で恥ずかしくなってしまい、言葉を口に出すにつれ尻込みするように小さくなっていく声。恐らく赤くなっているであろう頬を隠すように俯く。コネシマくんはそれを知ってか知らでか、呆気にとられたように気の抜けた返事を返した。
「あ、テスト勉強どうや。おれまた数学やばそうなんやけど。」
「私は理科系がちょっと…。」
ふと思い出したように言うコネシマくんの一言で話題が切り替わり、ほんのり気まずかった雰囲気はきれいに払拭された。私たちはテスト前は図書室でよく勉強を教え合う。両者共に文系科目が得意なのだが、理系科目にそれぞれ苦手を有していた。互いにそれを補いあい、テストに挑んでいるので今回もそうなると思う。
「また教えてや。」
「勿論。あ、図書室暑いから別の場所にしない？」
冷房がなく、ただ窓が空いているだけでは勉強どころではない気がするし、何より汗をかいた状態で彼と接近するのはできるだけ避けたいのである。