em side ページ15
人の言う、幸せとは一体どんな物なのだろうか？
私は気付いた時には此処に居て、
独りぼっち、寂しい。
長い間、人の望みを叶え続けた。
『愛』というものが、『幸せ』というものが
欲しくて、それが手に入れば、
私はあなた達と同じなれるだろうか？
けれど、ある日。
どうしても私では治せない病が流行った。
治せなかった私を人々は憎んだ。
どうして？なんで？私はちゃんと叶えたのに。
それでも人は私を憎み続けた。
ついには、私を忘れてしまい、この社もボロボロに
それでも、また。必ず、人が来ると信じて
待ち続けた。何年も、何百年も、
けれど、ついぞ人は来なかった。
そんな時だった。飢えた私の元へきた1人の人間
幼子、可愛くて温かい、彼女
ああ、この子が欲しい。
この子と居れば私は『愛』を『幸せ』を、そして
『温もり』を知れるはずだ。
──かみさま、私ね、迷子になっちゃって、
だから、おとうさんとおかあさんの所に返して欲しいの。
『良いですよ。お名前は？』
「……………？おにいちゃん、だぁれ？」
『私はエーミール。この神社の神様ですよ』
「かみさまなの？わたしはA！
ねぇ、かみさま。
おとうさんとおかあさんの事をさがすの手伝って？
かわりに、おにいちゃんのおねがい聞くから！」
『ええ。お手伝い致しますよ。
その代わり、貴女の意思で、貴女の足でこの神社にまた来てくれますか？』
「うん！良いよ！」
『そうですか。Aさん。
その約束、忘れないでくださいね。
もし、忘れたらその時は、貴女の事を隠して仕舞いますよ？』
「うん。いいよ。ありがとう！
おにいちゃん優しいんだね！」
『ふふ。まさか。
優しければ、こんな子供に酷な願いを課しませんよ。』
『あぁ、ようやく願いが叶った。
私の残っていた力で、彼女から約束の記憶を取り出して、柘榴の水飴を食べさせて、
ようやく、私の、私だけの貴女になってくれるんですね。
ねぇ、Aさん。私、優しい神様では無かったでしょう？
途中で訝しんだ時は正直焦りましたけどね。
これで死んでも同じ。正に相思相愛ですね。』
眠っている彼女に、読み聞かせるように言う。
それでも嬉しかった。
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作者名：#Chihiro* x他4人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Chihiro0521/
作成日時：2021年7月25日 11時
