Summer time Days！2【wrwrd】【all】【合作短編集】 (ページ11)

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『おん。僕とエミさんの付き合いは結構長いと思うで。好きなのを選び。』

「ありがとうございます。
じゃあ、これで。」

『ほぉ。それを選ぶんやな。』

小粒だが、いちごの形のいい物を選べば、含みのある返事をするトントンさん。
この人もきっと。エーミールさんと知り合いなのだから人ならず者なのは間違い無さそうだ。
と、彼の言った言葉の意味が分からないが、綺麗な赤い宝石を利き手に持つ。

『ふふっ。では、トントンさん。
私達はこれで。お店、頑張ってくださいね。』

『……おん。エミさんもな。』

お勘定を終えたのか、エーミールさんとトントンさんは互いに言葉を掛け合ってこちらへとやってくる。
お店に居るトントンさんはヒラヒラと私の方に手を振っていた。

『さて、Aさん。欲しいもの、他にもありますか？』

「いえ……。人ならず者との人の区別が付けにくいので、これだけで十分ですよ。」

『ふふっ。賢いですね。
時々、神様がお店を出して人を連れ去ってしまう事もありますからね。』

「えぇ。本当に。」

『さて、これから花火が上がるそうなので、
私の神社で一緒にどうですか？』

店を離れて、再び宛もなくふらふらと、祭りの人混みに紛れて会話をしていれば意外な言葉が聞こえた気がする。
花火？この祭りで花火が上がったことはあっただろうか？と、思案するもやはり、そのような記憶はなかった。

『Aさん、今年からやるそうですよ？
まあ、貴女はこういった祭りが嫌いなのもあって、無関心だったんでしょう？』

「良いですよ。」

ニコリ、柔和(にゅうわ)な笑みを浮かべたエーミールさんに少し違和感を覚えたけれど、
花火は綺麗だし、この人の境内であれば心配ないだろうと、一言で了承する。

カラン、コロン
と、下駄が石畳を踏む音が嫌に軽快に聞こえる。
足を神社の方へと向けてから、私の先を歩くエーミールさんは黙ってばかりだ。

ド────ン！

その静寂に、ひとつの大きな音が聞こえて、思わず振り返れば、綺麗な大輪の花が夜空に咲いていた。

『お気に召して頂けましたか？』

いつの間に隣に居たのだろうエーミールさんが、そっと声を掛けてくる。

「はい。久々に見ましたけどね、とても綺麗です。」