50話 邂逅 ページ9
ミィちゃんがジュースを買いに行き、ラーちゃんも遂に愛しのチアキくんに告白をしに行って
手持ち無沙汰だった僕はエルちゃんとミカゲにブラッシングをかけていた。
普段は滅茶苦茶に拒絶をするのだが、面倒臭いのが勝っているのか今日は大人しい。
「ミィちゃんおっそいなぁ」
「やっぱり何人かで行くべきだったのかなぁ
今どの辺に居るかしーちゃん分かる?」
自分の鼻先を人差し指で示しながらそう聞いて来る。
僕は生まれつき嗅覚が鋭敏で、それは匂いを知っていればその人の痕跡を辿れる程。
だがしかし鋭敏過ぎるため、普段は意識してシャットアウトしている。
誰が好き好んで知らない奴の匂いを嗅がねばならないのだ。もちろん裏メンバーは別だが。
「ちょっと待ってねー」と言いながらミカゲを抱えて立ち上がり
廊下に顔を突き出してミィちゃんの匂いを探そうとしたその時、微かに鉄の匂いを捉えた。
血液特有の鉄の匂い。
そして直後の大きな爆発音と何かが焦げるような不快な匂いに顔を顰めるが
複数人の香りの中に、嗅いだ事のある3人分の匂いを捉え嫌な予感がする。
「しーちゃん!何かあったの!?」
「わ、かんない…けどヤな予感がする……僕行く」
「ちょっしーちゃん!?」
エルちゃんの制止の声を無視してミカゲを抱えたまま廊下を駆け出す。
後ろの部室から続々と裏メンバーが出てくる気配を感じるが、待っていられない。
何度もメガネを落としそうになったりしながら、匂いの元に到着した。
爆風で髪が、キュロットが、白衣が、ピアス達が、大きく靡いて揺れる。
目の前にはミィちゃんを抱える赤髪の奴_確か寺刃ジンペイと、恐らく他の表の奴ら。
突然現れた僕に奴らは心底驚いているが、そんなのはどうでもいい。
寺刃の背中のミィちゃんはぐったりと動かないが、微かに呼気の匂いがするので
眠らされたのか、気絶している。
そしてその奥には変身した2人のヒーロー。
赤黒い血液を操っている、形が定まらないヒーローは匂いからしておーじょちゃん。
その相手は
「あっ会長が…」
玉葱頭がそう呟いて
相手の匂いを何故嗅いだ事があるのか納得し
その相手を認識し
そいつとの過去を思い出し
心に黒い感情が広がるのを感じた。
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作者名:YSP裏クラブ一同 x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2022年8月17日 18時