表と裏。Part2【リレー小説】 (ページ17)

今日:2 hit、昨日:15 hit、合計:585 hit

58話　君には生きてほしいページ17

「エーデルっ！」

俺は倒れている彼女の傍らへ走った。

そこにいたのは
　
星明かりだけに照らされた彼女。
いつものように威厳を放つのではなく

ただ、息を少し荒くして眠っていた。

皮膚は、少し爛れてしまって赤くなっている。
わけの分からない何かが彼女を黒く覆ってしまう。

俺はそれを必死に剥がそうとし、攻撃し
癒しの妖術を使っていた。

赤い弾が俺の体や顔をかすめていく。
それも、今は痛みにすらならなかった。

「エーデル！エーデル！目をっ、開けろっ！！」

自分の怪我も治さず、ただ彼女に妖力を注ぎ続ける。

自分の腹を一つの赤い弾が当たり血が出た。

それでも

「少し、暖かいかも、だがっ！我慢してくれっ。」

俺は彼女の体を治そうと必死だった。

怪我がある程度治っても、何かだけは剥がれず
まだ残ったままだった。

「クソッ！なんだこれ、剥がせない………！」

こうなったら…………っ

俺はまた彼女を落ち着かせる時に使った姿を出す。
ただ、変わっているのは

それに伴う激痛だった。

どちらに傾くにせよ、俺はきっと皆とは居られなくなる。
それが少しずつ近づいてることを

自覚するしかなかった。

それでも

「………生きるぞ、エーデル！」

君には生きてほしい。

俺は両手を広げ、水のドームを作った。
まるで、深海のような色を浮かべた水に

癒やしの粒子を撒く。

中に夜空を閉じ込めたような水は
すべての粒子を閉じ込めると

彼女の体を覆い輝いた。

輝きが収まり自分の中へ水が戻ってくる。
それは、不思議な色をしていた。

まあ、簡単に言えば
あの何かも実際力の塊のようだったので
食わせた。自分の今作った人形に。

何かは除けた。傷も回復した。
それでも起きない。

なんでなんだ。

なぜ、なぜ…………！

「…………しっ、かりしろエーデル！」

早く、早く起きて。
どんな言葉でもいいから。話そう。

俺も、愚民って言われないように頑張るからさ。

そう思い、彼女の手を握れば
少し目を開けて、こちらを見た。

すぐ閉じて、眠りについてしまったが。
でも、それは緩やかな呼吸になりつつあった。

突然のことで驚いたし焦ったが

事実、彼女は生きているのだ。

ようやく生きた心地がして姿を戻せば

体に激痛。

二人の加勢に行けそうもないな。

「少し、休むか。」

俺は、彼女の隣で眠りについた。