* い ち ご み る く *

6。M*side ページ7

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大歓声のドーム。







首位を走る巨人軍は



2位の阪神とぶつかりあう。







その中で
一際歓声が大きくなる瞬間は、




_____五番、乙女




彼女に打順が回ってきた時。









大切そうに両手で握ったバットの先で

左脚のつまさきを二回叩き、


空を見上げる。




打席に入る時の、Aの癖だ。




ファンはその行動を


“乙女の祈り” と呼ぶ。









____カキーン____






期待を裏切らないのも、乙女Aが人気の理由の一つである。









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『…長野さん？どうしました？』


グランドの隅で休憩中、
一緒に居た長野さんがぼーっとしていたから声をかけた。

…実は俺もずっとボンヤリしていて、ついさっき気づいたばっかりだけど。



長「え？ああ……Aがチームに入ってすぐの頃の事を思い出していた」

『本当っすか？一緒ですね笑』

長「お前も？笑」



あれから半年近く経った今、
なんとなく思い出していたのはAが入ったばかりの時の記憶だった。

俺、あの時色々と悩んでたな。

そして、いちごミルクあげたっけ。




坂「スゲー笑 俺も一緒ん事考えてたで」


長「勇人もか笑」

『なんかあるんすかね？笑』




近くで素振りしていた勇人さんも
同じことを考えていたらしい。

気が合うというのかなんなのか。笑




坂「俺あいつに勝負申し込んでさ笑』

長「そうそう！で、あっさり負けてたよな笑」

坂「それ言わんといて下さいー笑」

『Aのスライダーは魔球っすね、あれ』

長「まだ一回も打てたことないし」






最近は、
一軍セカンド五番打者を務めているA。


この何ヶ月かで更に実力を伸ばし、レギュラーに定着しそうな勢いで。



『ファン人気も半端じゃないっすよね』

坂「ファンの数抜かれたかもなー笑」



初めの頃こそ“女だ”という理由でアンチも多かったけれど、

今では勇人さんに負けないくらいの人気選手。



野球ファンではないけどAファンっていう人も多いみたいだし、
写真集なんかバカ売れだったらしい。




“僕の従姉妹なんですよ”


いつかのヒーローインタビューで初めて公表した時は、
ファンもチームメイトも衝撃を受けていた。


それからは、
目が似ているってよく言われる。









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「りょーーーにぃーーーーーっ！！」








お、



来た来た。笑



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