* い ち ご み る く *

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しつこい。しつこすぎる。



前「やからな、勇人。そんな風にすぐ女の子に手ぇだすから、お前は結婚できへんねん！」

「ぷっ笑」

前「勇人、わかるか？そもそも恋愛っていうものはなぁー……」



さっきからマエケンがうるさいねん！！



食いに来たのは広島軍常連のラーメン屋。
この店、酒あるから
マエケンは酔ってずっとこの調子。

Aに肩なんか組んでさ、
完全に酔っ払ったおっさんと化している。


遂には、何故か恋愛について語り出した。




前「な？やからぁ、お前みたいなんははよ結婚して落ち着かな、収集つか、」

『ちょいみるく、待っててな』

「ふぁーい」



俺は、まだ一人で喋ってるマエケンを強引に引っ張って、店の外に連れ出した。

これ以上、マエケンの“恋愛について”なんて聞きたないわ。

俺がほんまのこと言えばええんやろ。



前「なんや勇人？みるくちゃん置い、」

『俺さ、Aのこと好きやねん』



外の風に当たって、ちょっと酔いが覚めたマエケンに向かって宣言した。

照れくさ。
なんで俺、こんなこと健太に言わなあかんねん。



『俺が付き合ってるわけやないし、みんなAのこと狙ってるねん。

けどあいつ天然やからさー……わかる？』


前「は？勇人が恋？マジで？何年ぶりなん？
ちょ、ごめ、ウケるわ！！笑」

『何がおもろいねん！笑』


俺がせっかくちゃんと話したっていうんに、爆笑してくるって友達としてどうなん？笑

この俺の久々の恋やで？
しかも片想いやで？

ちょっとぐらい褒めろや、おい！



『もーええわ、みるくんとこ戻るし』

前「おい、勇人ごめんって笑、待てや笑」




絶対ごめんなんて思ってないな。まだ笑ってるやん。


確かに、何回フライデーされたかわからんし
毎晩寝る女はちゃうかったし
遊びまくってたかもしれへんで？


けど、やっと
どうしても欲しいやつが現れた。


俺、みるくとやったら結婚してもええし、
子供何千人作ってもええ。

絶対に浮気せぇへん自信、あるし。



なんとしてでも掴まえたい。

俺のものになってほしい。

他の女なんかいらん。



そんだけ好きなんや。ほんまに。









『は？』



前「どしたん？」








好きなんやけども…









『みるくが居らへん』

前「トイレやないん？」


『ちゃう。荷物すらあらへん』









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前「はぁぁぁぁぁ！！？？」









えらいこっちゃ。



みるくが誘拐されました。




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