* い ち ご み る く *

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部屋に戻るとAと長さんはまだ居らんくて、俺は椋丞と二人で適当にテレビを見ていた。


宮「…みるく大丈夫かな」

『それなー』


椋丞はしょんぼりしてるし長さんは帰ってこんしテレビはおもろくないし。

みるく居らなつまらん。



俺は、綺麗に整えられたダブルベッドに仰向けにダイブした。



『…なあ椋丞』

宮「はい」

『なんでベッド二つしか無いん？』

宮「なんでって……えっ？！」

『え？……あっ！？』


身体を起こし、椋丞と顔を見合わせてみれば
今さらながらこの事の重大さに気づく。



ダブルベッドが二つ ＝ 二人ずつに分かれて寝る

＝ 誰か一人がみるくと寝る



…奇跡の方程式やん。




『俺！俺がみるくと寝るから！』

宮「いや、俺が寝ます！」

『椋丞、ここは先輩に譲るやろ！』

宮「ここは従兄弟の俺が一番安全っすから！」



その後も言い合いは続き、なぜかどんどんエスカレートしていく俺ら。

完全に長さんの存在忘れてるし。



『大体、お前はいっつも声ちっさいねん！』

宮「勇人さんはイタズラの度が過ぎます！」

『椋丞のアホ！』

宮「パーのくせに！」

『はぁ！？お前、ちょっとこっち来いや！』

宮「いくらでも行きますよ！」



関係の無い事まで引っ張り出してきて喧嘩する姿は、中学生以下。

こんなどうでもいい喧嘩も、仲良いからこそできるんやけど

タイマンはったろか、なんて思って
椋丞を俺の方に呼んだのが間違いやった。




宮「？！、」



漫画のようにナイスな場所に落ちていたタオルに、椋丞が足を滑らせた。

それはもう、ありえへんくらい鮮やかに宙を舞った椋丞は
ベッドに腰掛けていた俺に、すごい勢いで突っ込んでくる。



『いって…』





長「ただいまー」

「あのね、二人にいちごみる………え？」




バッドタイミングで帰ってきたAと長さん。



今、俺らの体勢は完全にアウトなわけで

椋丞が俺をベッドに押し倒してるようにしか見えへんと思う。






変な沈黙が流れるジャイアンツの仲良し四人組






長「…お前ら…そういう趣味だったのか…」



『ちゃいますーーー！！』

宮「誤解です！長野さん！！」


「みんなーー！椋兄とさかもとがねーー、」

『ちょ、みるく！マジ勘弁して！！』









ベッドどころでは無くなったとさ。


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