【歌い手】吸血鬼の館で家事、始めました。第1章【吸血鬼】

吸血鬼が36人 ページ38

これも、ここで生きていくため。


そう自分に言い聞かせ渋々了解した。

「ん。じゃあ集合場所に行く前に武器取りに行くよ」


再び歩きだしたそらるさんの後ろを追う。

武器か…なんか恐ろしい←



「この森はね、動物がいっぱい住んでるの。今回の狙いは鹿、兎、クマかな。Aにも狩れそうな動物」


なるほど。その三種類の動物を捕まえれば良いのね。




あんまり乗り気じゃないが、全力を尽くしてみようじゃないか。






.






あっちの世界じゃ一般人がこんな事絶対しないよね。

私今結構やばい経験しようとしてるけど本当に大丈夫かな…？

攻撃されたりしないかな？吸血鬼の館なのに死因が動物とかシャレにならないよ？



今更少し不安になってきた。

あれこれ考えているとあっという間に「準備室」と彫られたプレートの前だ。



キィィーと音を立て開かれる扉。


その先には沢山の銃や刀が並べられていた。

「はい。ここから好きなの選んでね」


「は、はーい…」



は、初めて本物の銃を見た…。


カッコいいけど、これで命を取ることもできるんだよね。


…冷静になって考えてみろ。

私達が今から行く狩も動物達の「命を取る」という事だ。

本当にこんなことして良いのだろうか…？





「どうしたのA？難しい顔して」


「あ、いや…今から私達はこの手で…動物達の命を取っちゃうんだなぁって」


「…Aは初めてだもんね。複雑な気持ちになるのは当たり前。確かに俺たちは動物さん達を狩る。でも、食料が少ないこの世界ではこうしないと生きていけないの」



少し声のトーンを下げ、ゆっくり説明してくれるそらるさん。





「だからご飯の時は絶対「頂きます」と「ご馳走さまでした」を忘れずに言おうね。動物さん達に感謝して食べなきゃ」





これからはもっと食べ物に感謝して食べるようにしよう。

そう胸に固く誓った。

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