【歌い手】吸血鬼の館で家事、始めました。第1章【吸血鬼】

吸血鬼が16人 ページ17

「やっと帰れない事が分かったんだ。じゃあご飯とか洗濯とかよろしく」

良かったぁ、料理出来て。


「はい。あの、台所とかは…」

「あ！俺案内するで。ついでに館の中見て回ろうや」


どうやらるすが案内してくれるみたい。
じゃあ安心だね。

「あ、ちょっと待って。一回るす外に出てくれない？Aと2人っきりで話したいことあるから」





ドアノブに手をかけた瞬間、そらるさんに呼び止められた。


え、話しってなんだろ…？

しかも2人きりって…


るすは"短くお願いしますよー"と言って部屋を出て行った。




部屋に2人っきりになる。



……



……





しばらく沈黙が続いた。


な、何か喋らないと…

あたふた考えていると先にそらるさんが口を開いた。



それは思ってもなかった言葉。


「ごめん」



か細い声でそう言われた。


「っ！……なんで、謝るんですか？そらるさんは何もわr」


「初めて会った時、キツくしてごめん。辛かったよね、あれ。Aまだこんなに若いのに…っ」



ヤバイ、そらるさん泣きそう…！

何とかしないと…



「それに、Aの許可なくこんな場所に連れて来て……冷たく当たっちゃってっ……今考えたら……最低なことしたなってっ…」



そっとそらるさんを抱きしめる。


「私は大丈夫ですから。ね？泣かないでくださいよ！」


今の私には、こんなことしか出来なかった。

そらるさんの腕が私の背中に回される。



「ごめんねA」

「っ…」

なんか、こっちまで泣けて来た。









あれ？私なんか泣き虫みたいになってない？

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