SEVENTEENの紅一点 3 (ページ42)

今日:29 hit、昨日:14 hit、合計:237,065 hit

爆睡する話ページ42

S.COUPS side

「うわびっくりした」

楽屋のドアを開けると、トイレに行ったやつ、自販機に飲み物を買いに行ったやつ、マネージャーに呼ばれてったやつ以外がそこにいた。
そして地べたに座って机に伏せってるやつが1人。

「どうした、A」

撃沈、という表現が正しい気がする。

ソファーにも座らず、机に突っ伏してびくともしない。垂れた髪は何束か床に落ちている。
肩にかけられているジャケットも同じように床に触れていて……なんとなくずり落ちている気もしなくもないけど。

その手前のソファーに寛いでいたジョンハニとドギョミは俺の声を聞いて、シーーッッと静かに、だが強く言った。

え、悪いの俺？

こっちこい、と手招きされてソファーに座る。

「起きたらどうすんの、スンチョラ」
「寝てるのかあれ？泣いてるのかと思った」
「昨日期限だったから3日くらい寝なかったらしい」
「あー、そうだった」
「車の中でも死にそうだったけど、楽屋入ったらソファーにたどり着く前にああなったんですよ」

期限、というのはこの3人の中からは誰も参加しないOSTの提出期限のことだ。

外向きの仕事を主にやっている彼女のところに舞い込んできた、ドラマOSTの仕事。
番組タイトルにちなんで是非うちのグループにという依頼だったらしいが、彼女はそれに少しばかりモヤモヤを抱えていた。

実力で選ばれたわけではなく、あくまでもグループ名で持ってこられた仕事だと解釈したのだ。

絶対にいい曲にするから手伝ってくれとウジやボノニやディノが作業室に引き摺り込まれていったのを見た。

残念ながら俺が参加することはなかったものの、デモの段階で聴かせてもらった時には既に「良い曲」だとわかった。
こんなことなら俺も入れてもらうんだったな、と数回は後悔した。

最後の仕上げだから、と調整に勤んでいたのは知っていたけど、まさか3日も寝ていないとは思わなかった。
この事実を知ったら雷を落としそうな奴が何人か思い浮かぶ。俺から言うのはやめておこう。

「でもどうせならソファーに寝かせるとかしたほうがいいだろ、跡つくぞあれ」

このままいくと起きた時には顔に跡がついて、メイクのヌナに怒られる気がする。

眠る時は仰向けに。さもなくば顔が浮腫む。

どんなに目を開けていても歯軋りをしてもどうでもいいからうつ伏せには寝るな、と口酸っぱくして言われたのはだいぶ怖かった。