SEVENTEENの紅一点 3 (ページ39)

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ジュンと電話の話ページ39

エレベーターが開くと同時に向こうからジュニオッパの声が聞こえだ。その声の様子からするにおそらく電話中なのだろう。
別にうるさくする必要もないし、喋る相手もいないので静かにハコの中から出る。

オッパは休憩スペースで電話片手にコーヒーマシンのボタンをしきりに連打している。
残念ながら、どんなにボタンを押そうが早く出てくるわけじゃない。

事務所に入ってきた当時も思ったけれど、ジュニオッパの中国語はとにかくスピードがえげつない。

相手が中国人相手なら尚更だし、それが広東語話者ならもっと早くなる。

もともと音韻が複雑なのに、方言になるともっと難解だ。北京方言と標準語には微妙に違いはあるらしい。でもテキストできちんと学んでいるわけではないから、どこがどう違うというのはわからない。
同じ国内でも話が通じないということもあるという。さすが大陸。

多分今話している相手は彼と故郷が同じなのだろう。ミョンホではないと思う。

わたしが休憩スペースの冷蔵庫を開けた音でようやくこちらに気づいたらしいジュニオッパは、フリフリと手を振った。一応振り返してから、冷蔵庫の中身を再び物色する。

誰かが入れておいたであろう紙パックの豆乳はもう少しでなくなりそうだ。また買って補充しておかなくちゃ。

コーヒーを入れ終えたオッパは何か熱心に喋りながらこちらを見てくる。
なんとなくしか聞き取れないけど、多分わたしの名前が出てきてる。

○○、今目の前にいるけど、どうする？かわる？うーん、でも話したことないわけじゃないんだし。暇そうに豆乳飲んでるけど？

みたいな感じ。

誰？と口パクで言うと、電話口で一言二言話した後に持っていたスマホを渡される。

「ミョンホじゃないんですよね？」
「うん。でも中国の子だし、Aも挨拶したことはあるよ」

わたしが知ってる子で中国の子。とりあえず中国語で話したほうがいいんだよね？