SEVENTEENの紅一点 3 (ページ38)

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そして楽屋に戻って、今に至る。

さっきのやりとりは全く大きな声ではなかったから、僕以外には誰も知らないはずだ。
ドギョミヒョンには聞こえてしまっただろうか。

こっそりとヌナのそばに近寄って、衣装の袖をちょっと引っ張った。

「ヌナ、」
「言っちゃダメ」

しぃ、とでも言うように口の前に人差し指を立てて、ヌナはそう言った。

「スングァニが心配するようなことじゃないよ」
「でも」
「それにわたし、今回はちょっと反省してる」
「ヌナが？何も悪いことしてないのに？」
「だって、わたしこう言っちゃったの」

ごめんなさい、わたしはここから居なくなることはできないです。大事な人たちが沢山いるから。大切に思ってくれてる人たちがいるから。わたしはその人たちのために生きたいから、ここから居なくなるわけにはいかないんです。だから、ごめんなさい。

「久しぶりだったからわたしも最初はすごく動揺しちゃったけど……でもまさか言い返されると思ってなかったんだと思う。すごく目を丸くして、ああそう、って言ってスングァニのところに行っちゃった。結局サインは書かせてもらえなかったしね」

だから反省、と言ってヌナは肩を竦めた。

「今はわたしのことを愛してくれる人たちといるだけで大忙しだから、あんまり耳を貸してる暇なんてないんだよ。そんなに器用じゃないしね」
「…ヌナ、随分と逞しくなりましたね」
「良いことなのかはわからないけど」

良いことかと言われると、正直それはよくわからない。
痛みに慣れてしまうのは怖いことだ。

でもこれは慣れたというよりも、躱し方を学んだというか、避け方を学んだというか。

皮をかぶって僕たちの邪魔をする人の言葉に傷つくんじゃなくて、愛してくれる人たちをもっと大事にすることを選んだんだ。ヌナは。

かっこいいや。
そう思わずにはいられなかった。