SEVENTEENの紅一点 3 (ページ10)

今日:8 hit、昨日:16 hit、合計:236,994 hit

. ページ10

彼女は年に数回ひとりで日本に渡ってモデルの仕事をしている。
時たま事務所に置かれている日本の雑誌に彼女を発見してはスングァンが騒いでいるのを見るけど、雑誌越しに彼女の姿を見るのはどうも落ち着かなかった。毎度妙な気持ちでページをめくっている。

こんなに知っている彼女なのに、知らない表情をしているんじゃないかという好奇心と、少しの不安で心をいっぱいにしながら。

目の前にいる当の本人はビリビリとお菓子の包みを開いてそのまま鳥の頭からパクついた。なんという思い切りの良さだろう。

「ソクミニは？ミュージカルの方、どんな感じ？」
「ああ、うん、順調。本番まではまだ時間があるし」
「そっか」

ミュージカルの出演が決まった時、誰よりも喜んでくれたのはAだったように思う。
まるで自分のことみたいに喜んで、絶対に初日に行くからね、とジョンハニヒョンと言っていた。

「ねえソクミニ」

彼女は2つ目のお菓子に手を伸ばしながら俺の名前を呼んだ。

「今忙しいし、すごく大事な時期だっていうのはわかってるんだけど」
「うん」
「すごーくわたしのワガママになってしまうんだけど」
「うん？」

ピリピリと包みを剥いで手の上にお菓子をちょこんと乗せて、まるでそのお菓子相手に言うかのように、彼女は小さく口を開いた。

「ずっと離れてるのは寂しいから、たまにはわたしとも一緒にいてね」
「え」

どういうこと。

そう尋ねようとしたのに彼女は口の中にお菓子を放り込んで、さあ収録しなきゃね、とブースの扉を開けた。
普段はちっとも自分の要望なんて言わずにみんなの意見を聞いているのに、1週間顔を合わせないと彼女はこうして少しだけ素直になるらしい。なんて魔法だ。

あと1週間会わなかったらどうなったんだろう、と思いつつそれは自分が耐えられないので却下した。
想像してみても、うん……無理だ。

別に深い意味はないのだろうけど、ちょっと恥ずかしそうに見えるのはなんでだろう。会わないうちに俺の目がおかしくなったわけじゃないと信じたい。

疲れてたはずなのになあ。歌う気満々になっちゃった。