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ぐっと指を広げてみていると、隣からにょきっと手が出てきた。鍵盤の上にのせていたわたしの手に重なる。そのまま掌同士を合わせた彼は、満足そうに口角を上げた。
「手、思ってたより僕のより小さい」
合わさった2つの手を見てみるものの、わたしの指の向こうからは彼の手の指先がひょっこり顔を出している。
わたしの手も女性のわりに大きくて指も長い方だとは思うけど、それでも彼の手よりは小さい。弾いていて羨ましく思う時もある。
「ジフニオッパよりは大きいですよ、これでも」
「それウジの前で言ったら怒られない?」
「怒られはしないけど…呆れられるかな…」
「だよね」
ついこの間も、また僅かながら身長が伸びたことを報告すると眉間にシワを寄せながら『報告ご苦労』と言われたばかりだ。
まあ、オッパはあれでいて筋肉量がおかしいのでプラスマイナスゼロということで。
頭の中で黙々と鶏肉を食べるジフニオッパを思い描いていると、隣のオッパは手持ち無沙汰になったのだろうか。
合わせていた手を少しずらして、わたしの指と指の間をキュッと握り込んだ。
鍵盤から視線をうつしてオッパの方を向いてみる。ジュニオッパのとろけるような瞳には、ぼんやりとわたしの姿が写っていた。
「Aが届かないものは全部僕が拾うから、大丈夫だよ」
その声色が妙に真剣で、包み込まれるような温かみがあって。
「…ピアノの話、だよね?」
「うーん、内緒」
その優しい微笑みに、心臓が跳ねた気がした。
ただの気のせい、なのだろうけど。
寝起きジョンハンとあれこれ→←ジュンとピアノの話(センイル2020)
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作者名:cham | 作成日時:2021年2月2日 0時