「恋」っていうから「愛」に来た【鬼滅の刃】

告白。 ページ30

これは、炭治郎が結婚してくれ！と口走った後

奥さんがテンパりすぎて

『うぅ……いじめてるんですかぁ…！？』

と、泣いてしまった

すれ違いが加速した二人である



炭治郎は非常に困っている

さっきからうるさい心臓の音が止まらなくて

なんだか頭で考えた言葉が

口に出た瞬間、全く別のものに変わるし。

足もみっともなく震えているし

勢いで繋いでしまった右手の汗は止まらないし。

でも離したくはなくて。

恋ってめんどくさいなんて。

それでも嫌じゃないから

余計、めんどくさいなんて。

『いきなり……なんですか』

竈門「いや、その……」

ハンカチを持っているはずなのに

好きな人の泣き顔を前に

そんなことを忘れて必死で涙を拭う炭治郎

その袖で必死に彼女の溢れる涙を掬うが

どんなにやっても止まらない涙に

さらに焦ってしまう

彼女の白い肌は炭治郎が精一杯拭うから
少し赤くなっていた

ぐしぐしと押し付けられる裾は

もうすでに濡れてしまっていて

でもそんなことにも気づかないほど

炭治郎が動揺してしまっているのに

さらに驚いてしまって。

未来の奥さんは拍車をかけて

涙を流した。本音も、つい出てきてしまった

『優しくしないで…どきどきする……』

竈門「ご、ごめん」

『もっと好きになる……』

その琥珀のような瞳から

透明な花が落ちてくる

場違いだろうが

涙を流しながら、鼻声になりながら

その整った顔を崩しながら

本音をこぼす彼女を炭治郎は心底可愛いと思った

なんでこんな、可愛いのに気づかなかったんだ

なんで、こんな好きになっていたのに気づかなかったんだ

そんなありきたりなことばかり考えていて。

今まで冷たくしていたことが胸にささる

これからはその代わりに

たっぷりと甘やかしてやろうなんて考えていた

……のに。

『でも…でも！…また、冷たくするんだぁ…！！そして傷つけるんでしょ…』

竈門「そんなことは…！」

『嘘よ……、嘘…。何回泣いたと思ってるの…！』

彼女が炭治郎の右手を振り払った

ただ、離れた右手が宙を掴んだだけなのに

まるで地球上の空気が全部ナイフになったみたいに

体のあちこちに刺さる程の痛みが走った
好きな人に拒絶される

そんな痛みは想像がつかなかった

竈門「……ごめん、ごめんな」

『……訳がわからないわ……夢なの？』

竈門「違う！俺は……」

拒絶の痛みを味わい続けた彼女は消えてしまいそうで

竈門「好きなんだ！君が！！」

放っておけなかった

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