「恋」っていうから「愛」に来た【鬼滅の刃】

敬語。 ページ18

我妻「…押してダメなら？」

『引いてみろ？』

我妻「そゆこと」

恋のコンサルタント我妻善逸。

顔だけはいいこの街のお嬢様と

寡黙な高嶺の花と呼ばれる(実はコミュ障)椿さんに

囲まれながら食べる昼食はやはり美味しいながらも

どこからでも聞こえてくる羨望と嫉妬の音に

食欲が削がれるのは仕方ないないことだった

善逸曰く

炭治郎も霞柱の人も恋愛回路が死んでるから

ということである

押してダメならひいてみろ作戦は

はっきり言って効果があるかは分からなかったが

善逸はなんやかんだで困っている美女を置いていけなかった

『引いてみろなんて効果はあるのかしら？』

半信半疑なお嬢様はその紫陽花の瞳を

高圧的な美貌で彩った

完璧に善逸を下に見ている態度である

善逸はその眼差しを怪訝に思いながらも

仕方ないことかと思い流していた

のだが。ここで甘やかしては炭治郎との恋など夢のまた夢。

「敬語」

『効果…は、ある………ので、で、で』

幼馴染はよくわかっていた

甘やかされてワガママになってしまった親友の

敬語の特訓に付き合いながらも

厳しく叱る姿は珍しい。

相手を思ってからこそだが

彼女の世界最高峰に高い自尊心は

ついムキになって敬語を拒んだ

というより敬意を払うことを好ましく思わなかった

ですか？

たった１つの丁寧語さえも言えないのだから

この先はとても長いのだろうなと

善逸は思うのである

真っ赤になって我慢しようとする姿は

可愛いながらも見ていて辛いものがある

敬語１つ使うのにも彼女は相当な壁を超えなければならない

『で……で！…です………』

我妻「言える？大丈夫？」

『言えるわけないわ！！この戯け者が！』

我妻「ですよねーー！！こういう流れだと思ったー！！」

あともう少しだったのだが

彼女の我慢の糸がぷつんと切れて

善逸の頰を思いっきり叩いてしまった

ほぼ、八つ当たりと等しいものである

真っ赤に色づいた頰を撫でながら善逸は

痛そうに顔を歪めた

お嬢様はふん、と高く鼻をならしたのだが

椿さんは急いでその頰を気遣った

「大丈夫ですか！？すみません…」

『あなたが謝る必要はないのよ！！こんな人に触ると汚れるわ！！』

我妻「いや、お前はちょっとは謝れよ！！」

『嫌よ！』

やっぱり憧れの女性になるのには時間がかかるな

圧倒的美貌でワガママを吐き散らす彼女を見て

二人は思わずため息を漏らすのであった

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