「恋」っていうから「愛」に来た【鬼滅の刃】

とりあえず正直になれ。 ページ22

椿さんと、お嬢様

我妻「あのさ、好きっていいすぎなんじゃない？」

我妻善逸の言葉を切実に信じる

ぱっとわかりやすいこの話のみんな！

時透(→→→→→)←←椿さん

炭治郎、簪を渡すの頑張った後。

奥さん、性格補正した後。家事奮闘期。

簪が揺れた

珍しい鬼灯がモチーフの簪である

赤く熟れたような姿が鬼灯に似合っていた

鬼灯の花言葉は

偽り、ごまかし、半信半疑

などという冷たさを持ちながらも

私を誘ってください

という可愛らしい誘い文句も持っている

そんな奇妙なむず痒いちぐはぐさが

炭治郎とお嬢様を表しているようだった

家政婦さんであるお清さんに

『簪をいただいたの！』

と、自慢をすると

「あらまぁ」

と、感心されたような反応をされた

その時の反応と言ったら

こちらが恥ずかしくなる程に喜ばれたのである

「子供のお世話は私にお任せください」

「この清、精一杯二人の結婚生活をお支えします」

など、お嬢様も置いてけぼりをされて

途方もない方向へと話が進んだのである

『何を言っているか、分からないわ』

そう告げた時の豆鉄砲を食らったような顔も忘れられない

その言葉を聞くや否や

今まで触ることすら許されなかった

高貴な着物を引っ張り出して

これ以上ないほどに飾り立てられたのである

「これで炭治郎様のところへ行ってご覧なさい。きっとびっくりなさいますよ」

「お嬢様の指のサイズはどのくらいでしょうか」

「いいですか、夜伽の手順は…」

などとまた、お嬢様を置いてけぼりにして走り出してしまったので

困ったように笑うしかなかった

お清さんは夢見がちなようである

『炭治郎が喜ぶとは思えないけどなぁ』

着飾られて玄関から見送られては

流石に足を運ぶしかないだろう

こんなにも本気を出したお嬢様の美貌は

目にも止まるものがあり

街行く人の視線をかき集めていた

そりゃ、こんだけ着飾れば目立つなぁと

的外れなことを抜かすお嬢様である

『またケバいと言われるわよね…』

カフェの窓ガラスに反射した自分の頰を撫でる

ちょうどカフェの中でお茶をしていた人が

こちらに釘付けになっていたようなので

困ったように手を振りかえせば

顔を真っ赤にさせてしまったので

さらに困ってしまった。

炭治郎様もあのような反応をしてくださらないかしらと

はぁ、と色を含んだため息をこぼす

その時、ちょうど声がかかったのである

「気合い入ってるね、今日は」

『椿！』

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