「恋」っていうから「愛」に来た【鬼滅の刃】

最後 ページ21

竈門「人のものを横取りするもんじゃないだろ！？」

『お、お気遣いなさら…』

竈門「それに、禰豆子にはもっといいやつを…じゃなくて！その………」

炭治郎の言い訳は苦しいものがあった

君に似合うかなって。

渡したいって、贈り物だよって。

その三つを言うだけで済むのに

嘘に嘘が重なって。

後悔が止まらないくせに

焦りも引かなくて。

嵐のように彼女の心を吹き荒らしていく

彼女も彼女で嬉しくなったり、寂しくなったりと

大忙しなのである

竈門「君に送りたかったんだ」

『え、あ？』

キミニオクリタカッタンダ？

彼女はついにわけがわからず

きゅーーっとこれでもかと言うふうに

心臓をがんじがらめにする恋心に

振り回されていた

竈門「じゃあ、俺任務だから」

彼女が現場についていけなくて

一向に手を出さないものだから

炭治郎はたまらず彼女に押し付けた

乱雑に手を伸ばせば

彼女の胸のあたりに手が当たる

強引に押し付けてそのまま。

少し、柔らかいっと感じてしまった炭治郎は

その場からすぐに去っていった

急に離された簪を落とさないように

急いでお嬢様は手を出す

『お、落とすところだった』

うわー、うわーー！！と

叫び出しそうになる喜びと

自慢したくなるぐらいの出来事に

みっともなく顔を緩ませる

プレゼント、もらった。誰に？炭治郎に？

心なしか乱れてしまった呼吸を整えながら

その簪を優しく握るのである

すぅ、と頰に当たると冷たい感触が伝わる

夢じゃない、今、炭治郎と話して、それで

簪を………。

『うわーー！！うわーーーー！！』

どうした！？と周りに心配されてもなお

彼女は喜びと興奮のあまり叫んだ。







竈門「うわーー！！うわーーーー！！」

我妻「うわ、どうした。炭治郎」

竈門「か、簪を渡した！！」

我妻「え！？あの娘に！？」

竈門「ふ、不自然だったよな！いや、だって。アァァァ…もっとカッコよく渡したかったのに……迷惑だったよな！！いきなり気持ち悪かったよな！？あー…アァァァ！！傷つけたし、言葉選びも悪かったし、嫌がらせに見えたかもな」

我妻「…とりあえず、落ち着けよ」

炭治郎の姿を見て善逸は困ったように笑った

多分、簪を送ることの意味をあのお嬢様は知らないだろうなって

知ってたらその場で気絶してるもんなって

この二人のややこしい恋路を見て思うのである



簪を送る意味

現代で言うところの指輪をあげるのと同じ意味。

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