続き ページ45
客「すごく可愛いね！独り身なの？」
『………』
お婆さんは驚いた
彼女の美貌はまるで月を切り取ったかのように
美しく神秘的な輝きを持っていたからだ
彼女も彼女でお婆さんに頭が上がらなかった
命を助けられたのだ
何か恩返しがしたい。
そういう流れで彼女は甘味屋の看板娘を引き受けた
お婆さんの負担も減る
彼女は故郷に帰る為のお金が手に入る
お互いに理になっていた
「その子は緊張しぃで、話せないんよ」
『…ごめんなさい』
暖かな抹茶はその風味を引き立てる和菓子と共にあった
お盆に作られた小さな箱庭である
彼女は随分とお婆さんに気を許しているのか
お婆さんにだけ話すことができた
身内以外で話すことができるのは
お婆さんと無一郎だけである
客「人見知りか…ますますいじらしい」
『………！！』
だから怖くて抵抗もできない
こうやって無理にでも手に入れようとする客は
かなり訪れてきた
突如現れた看板娘はこの街で
一役有名になってしまったのだ
そのやせ細った手を掴まれる
片方は骨折しているのをいいことに
彼女は振り払うことができなかった
お婆さんの焦った声が聞こえる
このまま、どうなるのだろうかと
ふと今でも諦めていない想い人が頭をよぎった
時透「手を離しなよ」
最初、幻聴か幻覚だと思った
驚いて息をしてしまうことを忘れる
しつこい客の手を折らんばかりに握りしめた男は
なんと時透無一郎であった
彼女の想い人である
客「なんだこのガキっ！！」
時透「このまま折ってもいいんだよ」
多分、その時にはヒビぐらい入っていたと
今の彼女は語る
そのくらい怒っていたのを隠せていなかったし
禍々しいほどの殺意を持っていたからだ
客はその殺気に怯んで尻尾を巻いて帰っていった
ここに残されたのは彼女と無一郎である
時透「……何してるの」
『手伝いを…』
時透「そうやって男漁りでもしてるんだ」
きりっと胸が痛んだ
失恋の破片がまだ散らばっている
そんなことができる余裕があったらよかったと
彼女は怒鳴りたくなった
『そんな訳ないでしょう！本当になんなんですか！？何しにきたんですか！？』
時透「なにって…逆にこっちが聞きたいよ」
『あなたに置いていかれたからあなたを諦めたんです！！』
時透「はぁ？」
『今までありがとうございました！あなたなんて嫌いです、大っ嫌い！』
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蒼(プロフ) - 数年後からこんにちは(？)奥さん達が幼児化したら必ず「嫌だぁぁぁぁ」って拒否られてるのを見て笑っちゃいましたwww最後のやまびこが可愛いくて好きです…。 (2023年3月23日 3時) (
レス) @page50 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
野菜(プロフ) - 炭治郎の奥さん学習好きすぎてやばい (2021年9月18日 20時) (レス) id: 0ac70a73d6 (このIDを非表示/違反報告)
Agust d(プロフ) - やまびこ可愛すぎて悶えました どうまさん夫婦のいちゃいちゃもいつか拝みたいものです♪ 他作品も心臓潰されながら読ませて頂いています 応援しています！ (2020年4月27日 13時) (レス) id: 1eca6bf241 (このIDを非表示/違反報告)
風羅 - 全部読みました。めちゃくちゃ面白いです。ただ「冨岡義勇の本気」の骨董品のように汚れを知らないってところはちょっとギャグ入れたんかな？としばらく意味を考えてました (2019年10月21日 11時) (レス) id: 879d62ecab (このIDを非表示/違反報告)
ガールガール - 「時透夫婦の春の風」の話めっちゃ好きです。最後の無一郎が奥さんを心配して駆け付けたところなんかもう・・・感動して泣いちゃいました。面白かったです！ (2019年10月1日 9時) (レス) id: 4b6999800d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきぽん
| 作成日時：2019年8月22日 1時
