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続き ページ31

裾は泥だらけであった

最近は無理をして洗濯や料理をするから

手もガサついて所々切れている

町のお嬢様にあるまじき手である

しかもその顔は

酷く泣きそうな程、悲しい表情をしていた

想い人の前で醜態をはらした。

腰を低くして、泥の中から物を拾う女を誰が愛してくれるだろう。

きっと惨めな後ろ姿に違いないと彼女は考えて落ち込んだ

あぁ、炭治郎の恋人だったらこんな醜態は晒さないわ。

少し見たけどとても綺麗だった

手だってこんなに傷だらけではないわ

ぐるぐると悩みが回って離れない

帰ったらうんと泣こう。たくさんワガママ言おう

そう思ってその場を去ろうとした時

ふと、背中が大きな暖かさを感じた

竈門「これ、忘れてますよ」

彼女は大きく驚いたと共に言葉が出なかった

遠くで見られていたからまだマシだったけれど

近くで見られては薄化粧だし、泥もついているしで

とても酷い姿だろう

それでも、きゅうっと苦しい音が鳴って

心臓のあたりが痛くなる

指先に力が入らなくなって

緊張で顔を真っ赤にさせてしまった

炭治郎は遠くに転がってしまった荷物を届けにきたのだ

もちろん、彼女の拾う姿も見ていた

竈門「………」

『あ………』

彼女と目があうと炭治郎は少し冷たい目を向けた

これまでどんなに大変な時でも我を通してきた彼女だ

抱きつかれるかもしれない

キスを強請られるかもしれない

そんな事を思うと、あの炭治郎でさえも

少し嫌そうな顔をした

その変化に気づいたのだろうか。

彼女はそのもう泣き出していた顔を必死に

裾で隠しながら頭を下げた

炭治郎はその時の衝撃を今でも覚えているという

『あ、…ありがとうございます。炭治郎……様』

一歩離れて深々とお辞儀をした彼女。

声はもう震えており、涙が溢れていた

みっともないと、耐えられないと

そんな恥ばかり心に浮かんで

消えてしまいたいと切実に願った

嫌だと思っても流れる涙が止まらない

そんな自分も嫌で、裾で必死に拭うが

泥だらけの裾なので自分の顔も汚れてしまう

竈門「………顔が汚れてる。これを使うといい」

ふと顔を上げさせられたと思えば

優しく温かい日向の香りが近くでした

炭治郎が彼女の頰をハンカチで拭ったのだ

柔らかな感触にさらに彼女は泣き出した

やっぱり好きだなんて実感しながら

きゅぅと辛そうになる心臓の音を聞きながら。







『その時のハンカチは今でも持ってます』

竈門「捨ててくれないか…」

『絶対嫌です!』

プロポーズの言葉→←ワガママ娘が頑張る話



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(プロフ) - 数年後からこんにちは(?)奥さん達が幼児化したら必ず「嫌だぁぁぁぁ」って拒否られてるのを見て笑っちゃいましたwww最後のやまびこが可愛いくて好きです…。 (2023年3月23日 3時) (レス) @page50 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
野菜(プロフ) - 炭治郎の奥さん学習好きすぎてやばい (2021年9月18日 20時) (レス) id: 0ac70a73d6 (このIDを非表示/違反報告)
Agust d(プロフ) - やまびこ可愛すぎて悶えました どうまさん夫婦のいちゃいちゃもいつか拝みたいものです♪ 他作品も心臓潰されながら読ませて頂いています 応援しています! (2020年4月27日 13時) (レス) id: 1eca6bf241 (このIDを非表示/違反報告)
風羅 - 全部読みました。めちゃくちゃ面白いです。ただ「冨岡義勇の本気」の骨董品のように汚れを知らないってところはちょっとギャグ入れたんかな?としばらく意味を考えてました (2019年10月21日 11時) (レス) id: 879d62ecab (このIDを非表示/違反報告)
ガールガール - 「時透夫婦の春の風」の話めっちゃ好きです。最後の無一郎が奥さんを心配して駆け付けたところなんかもう・・・感動して泣いちゃいました。面白かったです! (2019年10月1日 9時) (レス) id: 4b6999800d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆきぽん | 作成日時:2019年8月22日 1時

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