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続き ページ2

母「子育ては大変よねぇ。私とあなたで協力しましょうね」

『えーと、治君は?』

母「あぁ、問題ないわよ。この書類にサインして」

太宰「それ、離婚届ですよ!!お義母さん!!!」

大変息苦しい、この昼頃

水の中にいる様に困難を極める呼吸は

ピリついた空気を拒み、酸素を供給しようとしない

そして寒さが際立つ背筋

の癖して滝のように流れる汗。

人知れず命の危機を感じ

懐かしい昔のスリリングを思い出させる

いや、昔敵陣に捕まった時の方が数倍、気が楽だった

ここは敵陣の本拠地よりも居心地が悪い

父「孫かぁ…どんな子だろう」

母「Aに似た子がいいわぁ」

お義父さん、今の状況を把握しておらず

のほほんと微笑む姿に焦燥感を覚える

その面影に彼女を感じる

そして、お義母さん

平然として離婚届を差し出さないで下さい

その美しく整った笑顔の後ろに

ブリザードが吹き荒れているよね?

離婚届を握る拳に力こもり過ぎだと思います

父「まぁ、なんだ」

一人で縮こまっていた時だった

彼女のお父さんが彼女によく似た

溶け入りそうな笑顔でポロリと暖かな言葉を漏らしたのだ

父「孫の顔が見れるって嬉しいんだなぁ。ありがとなぁ、治君」

正直いきなり過ぎて理解ができなかった

頭がついていかなかった

ただただ、胸のあたりが暖かいとしか思えなかった

が、この居間が幾分か広くなったように感じた

ここはひとつ何か返さなければ

彼女の夫として失格だ

太宰「いいえ、こちらこそ素敵な奥さんを貰えて感謝の限りです」

母「あげたつもりはないけどね!」

暖かな心が氷に包まれ固まり出す

広く感じた居間はすぐに収縮して

窮屈で息苦しいものとなった

お義母さんの殺意と決意が凄い

とりあえずそれだけは言える

目の前を向くのが怖い。殺人鬼の様なお義母さんの顔が目に浮かぶ

母「まぁ、認めてやらんこともないわ」

頭を金槌で打たれたような感覚

衝撃、とはまさにこの事であろう

別に対して感動を覚えた訳でもないが

ただひたすら嬉しかった事が新鮮だった

長い髪が静かに揺れる

涼しげなお義母さんの声が心にこだまするように

何回も何回も言われているように思えた

自然と無意識に笑顔が込み上げ

気持ち悪いと自分で思いながら素直に伝えた

太宰「ありがとうございます。娘さんとお孫さんは大事にします」

母「当たり前よ」

父「頼りにしてるぞ」

嘘みたいに呼吸が弾むように軽くなったのを覚えている

中原家の挨拶→←太宰家の挨拶



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あんこ - 久しぶりに見ました!やっぱり面白いです!これからも更新頑張って下さい! (2018年8月9日 15時) (レス) id: 0c74f1a9f1 (このIDを非表示/違反報告)
緑川わさび - 続編おめでとうございます。毎日楽しく拝見させてもらってます。これからも応援してます!頑張って下さい! (2018年7月30日 22時) (レス) id: 7ee805d977 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - オリフラ気をつけないとていひょうか沢山入れられますのでお気をつけください (2018年7月28日 0時) (レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
真咲夢月(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも連載頑張ってください!!いきなりコメント失礼致しました! (2018年7月26日 9時) (レス) id: 89b181a2cc (このIDを非表示/違反報告)
DAHLIA(プロフ) - 続編おめでとうございます!此からも頑張って下さい!コメント失礼しました...。 (2018年7月26日 7時) (レス) id: 9f5d116a8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆきぽん | 作成日時:2018年7月25日 23時

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