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俺はドラケンだ! ページ49

五年生になった俺は、渋谷界隈でそれなりに幅を利かせていた。俺より強い小学生は知んねーし、不良の先輩たちに可愛がられている自覚はある。


「調子こいてるって言えばよー、七小の"マイキー"」


 目の前で煙草をふかすのは鮫山一派のリーダーだ。どうやら七小の五年、通称"マイキー"は、暴走族"罰漢"の総長をノシでその名を轟かしたらしい。

 連れて来い、と命を受けた俺は気分を高揚させたままに駆け出した。


「お前七小だろ?マイキーって奴探してんだけど、知らねー?」

「あっ、マイキーくんならさっき……マイキーくん!!」

「ん?」


 近辺で声を掛けた少年に指された先には、人違いかと思うほど普遍的で小柄な男子がいた。


「あの……マイキーくん、だよね?」

「うん、そうだよ。何?」

「中学の先輩が君の事呼んでこい、って……」

「は?」

「いや、無理にとは……!!」

「良いよ、お前の頼みだから聞いてやる。ちょっと待って」


 マイキーはてくてくと校舎に戻り「Aー!」と誰かの名を呼んだ。そして駆け付けて来たのは超絶美少女。


「何?」

「こいつ、俺に用あんだって」

「ああ。おばあちゃんの面会ギリギリだから早くしてね」

「うん、A荷物持ってて」


 慣れたようにマイキーのランドセルを預かった少女。マイキーは棒キャンディーを口で転がしながら、その黒い双眼をじ、と俺に向けた。


「四十八手って何個か被ってるよな?」

「……え?」

「俺が見たとこ、どう見ても40いかねーんだよ。どう思う?」

「それ初対面の人に聞く事じゃないよ」

「Aだってわかんねーって何回も数えてたじゃん」

「万次郎がしつこく聞くからでしょう!」


 "シジューハッテ"?……何だこいつ、調子が狂う。とりあえず指示された通り鮫山一派の待つ公園まで歩む。


「呼んで来ました」


 俺が放つと同時、マイキーは飛んだ。鮫山の顔は見事に陥没していて、取り巻きも顔を青ざめている。


「群でしか行動できない奴らが何の用?」


 ニヒルに笑い「俺が七小のマイキー様だ」と放ったマイキーに、鮫山一派は逃げ出した。こいつ、凄ぇ……!!


「お前みたいにかっけー奴がさ、何でこんなカス共と連んでんの?」

「えっ、あ……」

「俺らの友達になれ、ケンチン!良いだろ、A!!」

「ケンくん?ごめんね、万次郎こうなったら聞かないの」


 困ったように笑うAと自信満々のマイキーに、俺は自然と頷いていた。

最期の川。→←*



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作者名:カーター千之助 x他1人 | 作成日時:2023年5月6日 4時

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