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予定通りの昼食休憩に、手洗いうがいを終えた弟妹たちは一目散にレジャーシートに集まった。
「すっげー!!!」
腹を空かせていたのであろう万次郎はAの祖母ちゃん特製のお重に目を爛々と輝かせ、ベンケーが配る紙皿を今か今かと待ち構えている。
「あー、もう!体べったべた!!」
「エマ後ろ向いて」
早々に愚痴を溢し出したエマに苦笑したAはリュックから筒形のウエットティッシュを取り出し、甲斐甲斐しくエマの汗を拭う。
「A、初めての運動会はどうだ?」
「とっても楽しいよ!」
「いっぱい写真とビデオ撮ってあるからな。祖母ちゃんに上映会しよう」
「ありがとう。きっと喜ぶ」
くふくふ、と品良く笑うAにわかり易く目尻を下げるワカとベンケーは運動会の出だしからビール片手に焼き鳥を食べていた筈だが、今度はお重の海老フライを取り合い出した。
「Aちゃん!!」
「あっ、大野くん。お疲れ様」
「俺の騎馬戦見てた!?」
「うん!皆凄かったね」
同級生だろうか。シートの合間を縫いAに声を掛けに来た児童は、Aの賛辞に頬を緩ませて戻って行った。
その後もジイちゃんに弟妹、A、今日ばかりAの保護者を担う腐れ縁たちと談笑しながら過ごしていれば、またも男子がこちらに向かって来た。
「Aちゃん、何でマイキーくんとご飯食べてるの?」
「おばあちゃんが来る予定だったんだけど、体調を崩しちゃって。万次郎たちにお世話になってるんだ」
「パパとママは?来てないの?」
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作者名:カーター千之助 x他1人 | 作成日時:2023年5月6日 4時