ミス・インディペンデント【東リベ】 (ページ21)

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「千咒とおばあさんには詳しく話さないで、ただ元気って言ったら安心してくれた。ハルにはそのまま。"ざまあねー"って笑ってたから、多分もう本当にお兄ちゃんだと思っていないの」

　それが悲しかった。とAは長いまつ毛を伏せ、俯いた。

　……この子はどれほど愛情深く人の傷みに共感してしまう質なのか、と感じたのは俺だけでないだろう。ワカとベンケーと俺が顔を見合わす中、「俺だったら嬉しい」と突然に放ったのは、蚊帳の外だった筈の青宗だ。

「人の為とか人の代わりに怒ったり悲しんだり出来るのは凄い事だ、って父さんが言ってた。俺には良くわかんねーけど、もしAが俺の為に怒ったり悲しんでくれたら嬉しい。だからAは凄いし、Aにそんな顔させるそいつはズルい。誰？いくつ？学校どこ？」

「え、青宗クン……？」

「途中まで良い事言ってた、よな……？」

　ワカとベンケーの顔が引き攣っているが、二人より青宗と付き合いの長い俺はよく知っていた。こいつは良くも悪くもド天然でストレートなのだ、と。

「青宗、お前ツラ貸せって乗り込むだろ！！そのAのダチは俺のダチでもあるからダメだぞ、絶対喧嘩になってAを困らせる」

「俺が勝っても？」

「ソウイウモンダイジャアリマセン！」