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「圭介、大丈夫か？」
病院に到着し、春千夜が手術室に入ったのを確認してから俺たち四人は待ち合いのベンチに座った。
武臣は手術室脇の小スペースで、泣きじゃくる千咒の頭に手を乗せている。
「俺は……何でいきなりマイキーが春千夜ボコってるのかわかんなくて、止めようとしたけど……ちょっとパニクっただけ」
「そうか。圭介、悪かったな。万次郎はコンコルド壊されて我を忘れたみたいなんだが、本当に春千夜がやったのか？」
「わかんない、けど多分違う……春千夜と俺、マイキーがコンコルド仕舞いに行ってからずっと一緒にいたし」
「万次郎は春千夜に確認したか？」
「……覚えてない」
「なら春千夜は待つにしても、まずお前を止めようとした圭介と、お前たち皆を心配しながら冷静に対処したAには謝ろうな」
「………ごめ、ん」
俯いたままの万次郎に小さく頷く圭介と、万次郎の手を握り、ふわりと笑うA。
その時、手術室の扉が開き、武臣と俺が医師から説明を聞いた。
春千夜の手術は無事成功、小児病棟に移されたものの、麻酔が効いているらしい春千夜は目を閉じている。
皆で様子を見に寄ろうとしたが、病室の手前で立ち竦む万次郎に気付いたAがくる、と振り返った。
「万次郎！皆にジュースとか買いに行こう？私一人じゃ持ち切れない」
ああ、この子の前じゃ兄の面目もない。敬意を込め、俺たちの小さくも頼もしいダチの頭にぽん、と手を置き微笑む。
「……よろしくな、A」
ジュースを、でなく弟を。千円札を渡しながら小声で告げれば、Aはきゅ、と形良い唇に力を込めて頷いた。
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作者名：カーター千之助 x他1人 | 作成日時：2023年5月6日 4時
