22.赤の軍 ページ22
「悪いな、ブラン。お前が連れてるその女を、うちの美人と悪魔が探してんだ」
赤毛の男が言った。
「俺たちと来てもらおう、アリス」
と黒髪に金のメッシュの男が言った。
どうすればいいのか戸惑っていると
「いたいけな女性を怖がらせるのは紳士として正しい行為ではないよ、2人とも」
と、ブラン。
「…怖がらせたのなら謝る」
謝るんだ、とAは少し唖然とした。
2人の男性は馬からひらりと飛び降り、Aの前へ歩み寄った。
黒髪に金のメッシュの男が
「俺は赤の軍のエースらゼロだ。我が軍のクイーンらヨナがお前に会いたいと言っている」
と自己紹介をした。
赤毛の男も続き
「こっちは赤の7、カイルだ。ま、よろしく。お前がどーしても嫌だってんならヨナには適当に誤魔化しとくぞ」
と言い、またまたAは唖然としてしまった。
するとゼロは
「カイル、これは任務だ。俺達は完遂する義務がある。」
と言った。
「義務だのなんだのは知んねえよ。俺の職業はあぬまでドクターだ。軍付きであってもな」
「カイルを連れてきた俺がバカだった。ともかく、A。ヨナは確かめたい事があるだけだと言っていた。手荒なことはさせないと誓う。」
Aが迷っていると
「A、君さえよければ彼らに応えてあげてはどうかな」
とブランが意外な発言をした。
「ブランさん…？」
「僕はこの国の書記官…起きた事をただ書き残すのが仕事でね。軍には干渉できない立場にある。君との逢瀬を邪魔されるのは本意じゃないけど、カイルとゼロは信用できる。どうするかは君の意思次第だ、A」
つまり行けって事が伝わった。
「…行きます、でもちゃんと帰すって約束してください」
「約束する。思い切りのいい人間は好きだしな。来い」
とゼロは言い、Aはそのままゼロに持ち上げられ、馬の背へと乗せられた。
「悪いが飛ばすぞ、A」
「しっかりゼロにしがみついとけよ。勤務外の診察は勘弁なー」
「A、気をつけて。すぐにまた君に会いに行くよ。」
あっという間にブランさんの姿は見えなくなってしまった。
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作者名：ナッツ | 作成日時：2018年5月4日 21時
