Music53 ページ6
「メロディについては、特に改善点は見当たらないかな。歌詞も申し分ない」
「Aメロの部分、普段はボクが主旋律を歌うことが多いんだけど、今回はレイジに主旋に回ってもらったんだ。そこはどう思った？」
「少しイレギュラーな曲はあってもいいと思う。ただやっぱり美風の方が声が通るし、そのバランスは考えた方がいいかもな」
「詞をどんどん重ねるように歌うサビも、合わせるのに結構時間がかかったんだ。その分、完成度は高くなってるつもり」
「それはすごい効果的だと思った。畳み掛けるような感じが曲調に合ってると思うし、何より4人の声が絶妙に調和してるところが俺は好きだな」
やばい。
すごく楽しい。
みんな、俺気づいちゃったかもしれない。
気づいたら語り始めてあっという間に40分以上過ぎてたくらい
……俺は音楽が、実はめちゃくちゃ好きだったってことに。
「…うん、ありがとう。これくらいで十分。やっぱりAに感想を聞くのが一番効率的で確実性があるよ。指摘も的確だ」
「言われるまでのことじゃないと思うけどな」
うわ、美風に褒められた。
これ割と凄いことなんじゃないか？
俺は、嬉しくて頬が少し緩むのを感じた。
すると、
＿＿＿美風が、何故か不思議そうな表情を見せた。
「A……今、笑った…？」
「え」
どういうことだ、と問うも、残念ながら美風の耳には届かず。
ずいっと俺の眼前にアップで映る美風の精悍な顔。
笑った…って、それだけ？
何をそんなに驚く必要がある？
現に俺は、音羽がよく笑う奴だったって聞いたばかりなんだけど。
「…………。」
「…………(汗)。」
あの〜……美風さん。
そんなに見つめないで…マジで照れるから。
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作者名：蒼乃 | 作成日時：2020年6月23日 18時
