Music9 ページ10
理由。
そもそもこんな異次元のイケメン、現実にいるわけない。
いや、いたらいたで勿論モテるだろうし、人生バラ色なんだろうけどさ。
少年漫画のぶっ飛んだ設定は平気なのに、恋愛ゲームとなるとなんか若干拒否反応みたいなの出るのよ。
自分視点でゲームが進んでいくから、違和感が拭えないっていうか。
独身だし、恋愛とか高校でもしたことないし、好きだよとか愛してるとかバンバン言われると、何だかくすぐったい。
自分でもよく分からんが、そんな感じ。
だから妹が『すたーりっしゅ』だの『かるてっとないと』だの『へぶんず』だの騒いで、狂ったみたいにペンライト振っていても、あえて触れないようにしていた。
他人の趣味を否定する権利は誰にもないから、妹の好きにすればいいと思った。
その後は、ときたま妹の「推しが尊い」話を聞いてやったり、「入国するから着いてきて」と訳の分からないことを言いながら、何故か映画館に連れて行かれてやったりもした。
でもまさか、そんなうたプリへの関心皆無の俺が『うたプリの世界』とやらに転生してしまうとは……
俺なんかが死ぬより、妹が死んだ方が良かったんじゃないのか?(不謹慎)
でも今更、そんなこと言ってたって仕方ないよなあ。
きっと今は、俺にうたプリの知識を少しばかり授けてくれた妹に感謝するべきなんだろう。
ありがとう、妹。
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作者名:蒼乃 | 作成日時:2020年6月10日 21時